【阪神】岡田監督 コーチ陣に痛烈ダメ出しで波紋…虎OBは危惧「チームが空中分解してしまう」

ヤクルト戦の8回、「不本意」な投手交代を告げる阪神・岡田監督(中)

阪神は30日のヤクルト戦(神宮)に5―6で敗れ、4位に転落した。4点リードの8回に継投策が崩壊し、一挙5失点で逆転を許す最悪の負け方で貯金も底をついた。岡田彰布監督(66)の怒りの矛先は、自身の意を十分にくめなかったコーチ陣へ…。一進一退の戦いが続く中、首脳陣間のコミュニケーション不足を不安視する声もチーム周辺から聞こえている。

楽勝ムードが暗転したのは8回二死からだった。3番手の救援左腕・桐敷が燕の主砲・村上に適時打を浴び、3点差に詰められると、岡田監督は投手交代を決断。次打者のサンタナを打ち取るべく右投手のゲラをマウンドに送る考えでいたが、ブルペンで肩をつくっていたのは漆原と前日29日に2イニングを投げていた島本の2人だけだった。そのため、指揮官の怒りは安藤&久保田両投手コーチへ向けられた。

「『ゲラ行くぞ』言うたら『漆原しかやってません』って。ええ!? ってなったわ…。出し惜しみはアカンって。昨日2イニング投げたヤツ(島本)を何でピッチングさせるんやろ。ホンマ分からん」。漆原は二死満塁から走者一掃の3点適時二塁打を許して同点。続いて登板した岩崎も悪い流れを止められず、代打・山田に決勝の適時打を献上してしまった。チーム最大のストロングポイントだったブルペン陣はこの日、完全崩壊した。

もう一人、怒りの矛先が向けられたのは三塁コーチャーを務めていた藤本内野守備走塁コーチだった。1点を追う9回二死一塁で佐藤輝の打球は左翼フェンスを直撃する長打コースへ。ここで一走の植田を本塁に突入させるべく腕を回したが、相手守備陣の好返球にも阻まれホームで憤死。3時間14分の乱戦は幕を閉じた。

イチかバチかのギャンブルではあったが、この局面での藤本コーチの判断も「信じられんわ。なんでも『行け』ちゃうやろ。状況判断やで。こんな狭い球場で」と指揮官によってバッサリと切り捨てられた。

プロとしてコーチ陣だけでなく、裏方にも厳しい要求を辞さない岡田監督は「俺はコーチには厳しいよ」と周囲に公言してはばからない。だが、球団OBは「もちろん投手コーチの責任も大きいと思うけど、ならば『こういうケースならゲラを行かせるつもりだから準備を』といったような指示や意思疎通が事前にあれば、未然に防げていたかもしれない」と指摘。

「このままではチームが空中分解してしまう恐れがある。首脳陣間でコミュニケーションはしっかり取れているのか? 平田ヘッドとかがうまいこと間に入ってくれていればいいんだけど」と危機感を募らせる。

「何もかもがうまくいった」(岡田監督)という昨季とは打って変わり、今季はいつまでたっても投打の歯車がかみ合わない苦しい戦いが続く。首位・広島とは4ゲーム差だが、最下位までも3差しかない。

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