取材ノート あたりまえを疑う大切さ

 ■日々、取材の中で、新しい発想に触れる機会が多い。先日ある外食企業を取材したときに、配膳ロボットの話題になった。大手レストランチェーンなどでよく見かける、料理を席まで運んでくれるロボットだ。人手不足の深刻化から活用が広がってきたが、この企業の経営者は「ただ運ぶだけではなくて、もうちょっと、高機能化してから活用を考えたい」と話した。
 「高機能化とは?」と聞くと、「うちのメニューをあらかじめ読み込ませておけば、AI(人工知能)がお客さまの要望に合わせておすすめの料理を提案してくれる機能とか」と、答えが返ってきた。例えば、「ヘルシーメニューを中心に、4人前」、「予算1万円以内で」、「シニアもいるので量は少なめ」といった要望をロボットに伝えれば、最適な料理の組み合わせを提示し、ボタンのワンクリックで注文が完了して届けてくれる、といった具合だ。
 なるほど、便利そうだし、そんなレストランがあれば行ってみたい。10年前にはなかったタブレットやスマホでの注文も、今やあたりまえ。今のあたりまえは、10年後もあたりまえ、ではなさそうだ。
 新しい発想に触れながら、あたりまえを疑う大切さを、実感している。
 ■竹田ゆりこ(たけだ・ゆりこ)。名古屋市出身。工作機械や電機などの製造業と、外食業を担当。最近の日課は、夜、寝つきを良くするために家族で取り組んでいるストレッチ。眠りの質を改善したい。

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