スマホ1つでレジまで…進化するスーパーマーケットアプリの現在地

スーパーマーケット各社のスマホアプリは、機能的な進化を続けています。会員カードやチラシの代替からスタートし、店舗での買い物に欠かせないツールとなるべく更新を重ねてきました。その進化の現在地について、ここでは買上点数と来店頻度を高める機能に注目します。

スーパーマーケット各社のアプリは機能的な進化を続ける

「買い物メモ」で売上アップ!

スーパーマーケット各社のアプリに共通する初歩的な機能は、チラシ画像の掲載です。この特売情報は集客のためのものですが、これにメモ機能が加わると、買上点数のアップにつながるはずです。正確にいうと、チラシ画像をアップするだけではだめで、セール情報をワンタップでメモやお気に入りに保存できる必要があるでしょう。

ライフ、オーケー、サミット、西友、ベルク、ロピアなど、セール情報をメモ保存できるアプリは増えています。対象商品をカテゴリー別に編集して探しやすくしたり、レシピ情報に記載した原材料を保存できるところもあります。ベルクは、レシピの原材料としてプライベートブランド(PB)等の商品名まで記載しています。例えば「ごまドレッシング」ではなく「くらしにベルク 焙煎ごまドレッシング」とメモさせることで、商品のプロモーションにつなげます。

買い物メモは単なる便利機能ではなく、ベルクのように試みれば販促に結びつくはずです。メモは顧客の買い物支援でもあります。いったい日々の買い物で、どれだけ買い忘れる物があることか。私など、先だっても練りワサビを買おうと思いつつ何度も買い忘れた挙句、最後はネットで注文しました。メモを作らないから忘れるわけで、買い物にメモが必要なことは明らかです。

セール品やレシピ材料だけでは不十分ともいえますが、それだけでもメモ登録できたら、顧客には買い忘れ防止、店にとっては点数アップにつながるはずです。アプリでチラシ画像をチェックするだけではアプリを閉じた瞬間に忘れそうですし、買い物中はいろいろなことに気を取られ、さまざまなことを考えているうちに、あれもこれも買い忘れてしまうなんて、よくあることではないでしょうか。

スマホでレジまで完結

スマホ1つでカードも財布もレジさえいらない。最高では?

スーパーマーケットのアプリに来店頻度を高める機能があるとしたら、やはり買い物中の商品スキャンだと私は主張します。レジ待ちだけは避けたいので基本的にピーク時間には行きませんが、買い物は日々のことなのでそうとばかりはいきません。ピーク時間に買い物に出るとき、私の選択肢は買い物中にスマホでセルフスキャンができるところに限られます。

買い物中でスキャンができるスマホアプリといえば、首都圏ではイオンリテールの「レジゴー」、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)の「Scan & Go Ignica」、またイトーヨーカドーのアプリ内にも「IYマイレジ ピピットスマホ」が搭載されています。このようなスキャン機能は、スマホをレジ代替にしてしまう画期的なものですが、買い物中のスマホ活用は会員カードの置き換えから始まっており、ポイント管理や割引特典を提供することが原初的な機能です。

そしてカードの代わりにスマホを取り出した以上、支払いまで完結するのがスムーズというわけで、決済機能を搭載するアプリが増加しています。

手数料やセキュリティの兼ね合いから、スマホにチャージする手段は今も現金が主流ですが、ヤオコーは今年、銀行口座からのチャージを可能にしてキャッシュレスで完結できるようになりました。いまどき銀行ATMを見つけてキャッシュを引き出す手間は大変ですし、コンビニエンスストアのATMを利用して手数料を取られるのも愉快ではありません。現金を調達する労力やコストを考えると、スマホ内でチャージできるに越したことはありません。キャッシュレスチャージを可能にすることで、スマホアプリは真に財布代わりと呼べるものになります。これに商品スキャンが加わるとスマホはレジ代替にもなり、買い物の作業はスマホだけで完結します。

アプリ内でチラシとメモが結びつき、ポイントカードと財布、さらにはレジまで結びつきつつあるわけですから、まさにスーパーアプリかもしれません。さらには、ヤオコーアプリ内の「井戸端会議」や、ロピアの公式アプリ「ロピタ」内に設けられたレシピ投稿のように、独自のSNSを志向する機能もあります。日々の買い物を刺激したり便利にしたりする方向性で、スーパーマーケットのアプリのさらなる飛躍を期待しています。

© ダイヤモンド・リテイルメディア