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「ラジオNIKKEI賞・G3」(30日、福島)
小回り福島開幕週の真緑色の馬場の大外から、次元の違う末脚が飛んできた。4コーナーで最後方にいたオフトレイルが馬群をひとのみ。先に抜け出していたシリウスコルトを頭差とらえた。セオリー完全無視の追い込み一気で、英国産の鹿毛が重賞初制覇だ。
地元の英雄、田辺の開幕週重賞勝利にウイナーズサークルも沸く。「開幕週なのに後ろから一気。普通は考えられないことをしてくれました。直線でゴーサインを出した時には届くかなという反応でした。先行する馬が多そうで、位置はみんなが行く後ろくらいと思っていたんですが、思いのほかスタートがうまくいかなくて。たまには、事前に話したことに逆らってみるのもいいのかもしれませんね」。鞍上はいたずらっぽく笑った。
吉村師も驚きを隠さない。「枠も内めだったから極端な後ろは避けてほしいと話していたんだけど、まずいなと思って見ていました」と明かしつつ、「うまくいく時はいくものですね」と頬を緩めた。
夏はひとまず休んで秋に備える。トレーナーは「ジョッキーもマイルとか、それ以下の感じはないと。父も中距離馬ですし、マイルから中距離くらいかな」と今後を見通した。ハンデ重賞といっても56キロは背負わされた方。そしてこの勝ちっぷり。秋の中距離戦線が楽しみになる。