さよなら1000形 静岡鉄道で50年活躍…ついに引退 近代的デザインで頑丈な車両 複線で全国初のワンマン運転も 地域に愛された車両がラストラン

静岡鉄道で50年にわたり活躍した電車が6月30日に引退し、記念のセレモニーが開かれました。

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運行を終えたのは1973年にデビューした静岡鉄道の電車「1000形」です。30日は、新静岡駅で引退セレモニーが開かれ、沢山の人が見守りました。

「1000形」は、静岡鉄道で初めてのステンレス車両として登場し、地域の足として長年、親しまれてきました。2両編成で12本、合わせて24両が活躍しました。東急車輛が製造し、オールステンレス製かつ、前面に大型ガラスを使うなど、当時は近代的なデザインでした。導入時には天井に扇風機が設置されていて、その後、冷暖房が完備されました。

運転台はユニット化され、ワンハンドル方式でした。走行に必要な計器やスイッチは、できる限りコンパクトに配置して、視野の確保に留意したといいます。

1973年から1985年にかけて製造され、1975年からは静岡清水線で電車のワンマン運転を始めました。単線鉄道でのワンマン化はすでに他社で実施されていたものの、複線でのワンマン運転は、静岡鉄道が全国で初めてでした。

2016年からは新型車両「A3000形」が登場し「1000形」は順次、引退していきました。引退した車両のうち「1009号」「1012号」は熊本県の熊本電気鉄道に、「1010号」は福井県のえちぜん鉄道に渡り、いまも活躍しています。

静岡鉄道に最後に残った編成は「1008号」で、ついに6月30日、ラストランとなりました。

<利用者>
「中学、高校にこの電車で通っていました。きょうで最後なんですか。懐かしい、ずっと乗っていました。寂しいです」

最後の列車を担当した運転士は、ラストランに自ら手を挙げたといいます。

<ラストランを運転 長谷川真孝運転士>
「記憶と記録にちゃんと残るように最後、感謝の気持ちを込め運転したいと思います。幼いころに何度か乗りに行って、それがきっかけで鉄道に興味を持って、この仕事を始めた。感謝の気持ちを込めて、最後の運転をしたい」

<静岡鉄道 川井敏行社長>
「電車は走り続けます。1000形が作ってくれた希望のレールを私たちは走り続けていくのが使命です」

「出発進行」

最後の列車には、ツアーに申し込んだ200人のファンが乗り込み、別れを惜しみました。

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