回転窓/芸術作品とハエ

たとえ一匹でも近くに飛んでくると煩わしいハエ。例年6~7月に最も多く発生し、8月にやや減少するものの秋に再び増加するとされる。こうした時期に備え、各地の家畜保健衛生所などは畜産業者に対し適切な対策を講じるよう注意喚起している▼ハエは感染症を媒介し、家畜にストレスを与えて生産性も低下させてしまう。畜産業者にとっては悩みの種であり、大量発生を防ぐために発生源などへの対策が欠かせない▼飲食店にも迷惑な存在だが、昔からハエを描いた美術作品は珍しくないという。月刊誌『芸術新潮』6月号(新潮社)は〈ハエはどう描かれてきたのか?〉とタイトルの付いたリポートを掲載している▼イタリア・パルマで14世紀から現在に至るハエの作品50点以上を集めた展覧会がこのほど開催された。現地リポートでは展示作品のいくつかを画像とともに紹介。果物や婦人の肩にハエがとまっている絵画など、いずれも独特の世界観が表現されている▼作者たちはどのような意図でハエを描いたのだろう。羽音が聞こえただけで不快感を覚えて遠ざけたいハエも、作品の中で放つ存在感は強く印象に残る。

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