戸田建設ら/のり面養生シートの自動展張機械開発、作業時間を5分の1に短縮

戸田建設らは土木工事の、のり面保護工に適用可能な「のり面養生シートの自動展張機械」を開発した。のり尻部(のり面最下部)に展張機を設置し、のり肩(のり面頂部)まで自動で展張する。転落リスクのあるのり面で養生シートなどの運搬や展張作業の必要がなく、張り終えるたびに斜面を昇り降りせずに済むため展張作業の安全性が格段に向上する。従来工法と比較すると、養生シート展張にかかる作業時間を5分の1程度に短縮できるという。
自動展張機械は、大同機械(東京都江東区、落合康全代表取締役)と共同で開発した。のり尻部に展張機を設置し、幅3・6メートルのロール状養生シートを連結したワイヤロープを2台のモーターで巻き上げ、養生シートをのり肩方向に引っ張る。これにより展張作業を完全自動化する。展張中に養生シートが風でまくれ上がるのを防止するブレーキシステムも搭載した。
福島県南相馬市にある福島ロボットテストフィールド内の傾斜角度30度ののり面で、現場を想定した検証実験を実施。展張作業時の安全性が向上したことに加えて、従来作業に比べ作業時間を約5分の1にまで削減できることも確認した。
今回の検証実験では、のり肩部に単管を設置して単管に滑車や養生シートを固定したが、実際の現場では単管は設置できない課題がある。今後、のり面小段に通常設置するU字溝に着目し、実現場適用に向けて自動展張機械の軽量化、養生シート固定専用部材を開発する。
今後、建設現場での試験適用に取り組み、2025年度の本格運用を目指し、のり面養生シート展張作業の安全性と生産性の向上を図る。

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