「胚芽米」は糖尿病予防やリラックス効果も期待でき夜向き【時間栄養学的「気になる食品」】

白米ベースは消化が良い反面、玄米より栄養価は低くなる

【時間栄養学的「気になる食品」】胚芽米

胚芽米は日本や中国などで数千年前から食用にされ、その高い栄養価が知られていた食材です。米の精米技術が発展すると、江戸時代には見た目が美しく保存性が高い白米が一般的になりましたが、20世紀に入り栄養学の進展に伴い、白米の精米過程で取り除かれる胚芽に多くの重要な栄養素が含まれていることが再認識されたのです。特に戦後の日本では、栄養不足の解決のために胚芽米が再び注目されるようになったといわれています。

そんな胚芽米には、エネルギー代謝を助け、疲労回復や神経系の健康をサポートするビタミンB1、B2、B6や、便秘の予防や腸内環境を整える効果にも役立つ食物繊維、さらに、免疫機能の維持や骨の健康などに重要な鉄、マグネシウム、亜鉛などのミネラル、体内の酸化ストレスを軽減し老化防止に役立つビタミンEやフェルラ酸といった抗酸化物質など、多くの重要な栄養素が豊富に含まれています。

研究によれば、胚芽米の摂取は血糖値のコントロールを改善し、心血管疾患のリスクを低下させることが示されています。特に糖尿病予防やインスリン感受性の向上に寄与することが確認されています。さらに、胚芽米を摂取した場合に腸内の有益な細菌の増加を促進し、有害な細菌を抑制することから腸内細菌叢を改善し、免疫機能を強化する効果があることも報告されています。

胚芽米には未精製の胚芽米(玄米ベース)と、精製された胚芽米(白米ベース)の2種類があります。玄米ベースは基本的に玄米の状態で、胚芽とぬか層がそのまま残っているものです。栄養価が非常に高く、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富です。未精製の胚芽米は見た目や食感が玄米に近く、調理には少し時間がかかることがあります。

一方、白米ベースは白米のように精製された胚芽米で、外側のぬか層は取り除かれていますが、胚芽部分は残っています。このタイプの胚芽米は白米のように柔らかくて食べやすく、消化が良い反面、玄米ベースの胚芽米よりも栄養価は若干低くなります。それでも、普通の白米よりは栄養価が高いのが特徴です。

こういった観点から考えると、よりエネルギー生成効率の高い白米ベースは朝向き、血糖値の上昇を抑えたい玄米ベースは夜向きの食材と言えるでしょう。夜寝る時には、副交感神経=リラックスする神経が有意になり、胃や腸の吸収が高まるため、含まれる栄養素を摂り入れる機会としても夜が最適といえるでしょう。

ビタミンB群などはエネルギーを効率的に作り出す機能のほかに、疲労回復に関わることがわかっているビタミンでもあるので、時間帯を考えて食べ分けてみてもよいでしょう。

(古谷彰子/愛国学園短期大学准教授)

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