伊藤沙莉『虎に翼』、『カムカム』以来のヒット作へ 『ブギウギ』コラボに恩師の死…ざわつき作り続ける巧みな構成

※画像はNHK『虎に翼』公式インスタグラムアカウント「asadora_ak_nhk」より

伊藤沙莉(29)主演のNHK朝ドラ『虎に翼』(月~金曜)の第14週「女房百日 馬二十日?」が、7月1日から放送される。平均世帯視聴率は変わらず好調で18%台を出す回も。21年後期の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』以来のヒットになりそうだ。

寅子は東京家庭裁判所の特例判事補になり、仕事が増えて大忙しだが、そのぶん花江(森田望智/27)は、猪爪家の家事を亡きはる(石田ゆり子/54)のぶんまで1人で受け持つことになってしまう。放送からもうすぐ3か月が経ち、そろそろ“中だるみ”が心配な時期だが、『虎に翼』はそれをしっかり回避している。

第13週「女房は掃きだめから拾え?」(6月24~28日)は、寅子は多忙なうえ、多岐川(滝藤賢一/47)から家庭裁判所の広報活動の一環として行う、「愛のコンサート」の企画を任されてしまう。そんなある日、梅子(平岩紙/44)と3人の息子たち、義母・常(鷲尾真知子/75)の遺産相続争いの調停が始まる。

長男・徹太(見津賢/28)は相続辞退を求めるが、梅子は拒否。しかし、三男・光三郎(本田響矢/25)が亡き夫の愛人・すみれ(武田梨奈/33)と路上で抱き合っていたことを知り、限界を迎えた梅子は、すべての権利を放棄し、大庭家を出ていくと宣言。一方、コンサートの出演者は、歌手・茨田りつ子(菊地凛子/43)に決まり……という展開。

寅子はまだ判事補で、キャリア的には地道な展開が続いているが、最近では花江と道男(和田庵/18)の関係が話題に。それをめぐりX(旧ツイッター)では、《花江ちゃんと道男がくっつくことはありえないと思ってるけど…ザワザワする》《道男は猪爪家の「家族」になりたいからプロポーズしたのでは?》など、さまざまな声が出ていた。

■ファンをうまく刺激

「結局は花江に恋愛感情はなく、猪爪家のエピソードは彼女のワンオペ問題の提起がメインになりました。それでも、興味を惹かれた人は多いようで、これが良い刺激になっていたようです。本作は第10週から新しい章に入り、今週あたり“中だるみ”が気になる時期でしたが、おかげで問題なく乗り越えられました。

さらに、よね(土居志央梨/31)と轟(戸塚純貴/31)にバディを組ませたり、梅子を再登場させたり。前期放送『ブギウギ』のレコード会社が出てきて、福来スズ子(趣里/22)の存在を匂わせたうえで、コンサートに茨田りつ子登場と、朝ドラファンのツボを刺激するネタを連発。あざとさを感じるほどですが、視聴率が落ちないのはこれらの効果もあるでしょう」(ドラマライター/ヤマカワ)

放送期間が半年と長い朝ドラは、どうしても刺激の少ない”中だるみ”の時期ができがちだ。そこで本作のように、小さくとも視聴者のツボを突くネタが投下されていることで、刺激的な内容になっているようだ。

7月1日からは、寅子の恩師・穂高(小林薫/72)の退任がメインで描かれるようだが、次週予告で寅子が喪服を着ているシーンがあり、ひっょっとすると……ということもある。また、最高裁判所長官・星朋彦(平田満/70)の息子・航一として、岡田将生(34)が19年前期の朝ドラ『なつぞら』以来の登場となるようだ。寅子のモデルである三淵嘉子氏は、41歳のころに再婚しているがはたして? ファンを魅了するエピソードはまだまだ続きそうだ。

平均世帯視聴率はここにきて17%台を連発しており、このまま好調を続けられれば、全話平均が17.1%の『カムカムエヴリバディ』を抜くヒット朝ドラになるかもしれない(すべてビデオリサーチ調べ/関東地区)。今後に注目だ。

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