山中に倒れていた少女2人を発見、携帯通じず公衆電話へ 「だめかもしれない」の声に、体さすり励まし続ける 神戸の主婦に県善行賞

「のじぎく賞」の伝達式に出席した吉田雪さん(右)と次女たおさんら=葺合署

 六甲山で10代の少女2人を保護したとして、兵庫県警葺合署は、神戸市に住む主婦の吉田雪さん(39)に県の善行賞「のじぎく賞」を伝達した。山道でぐったりとする少女に声をかけ、周囲の人と協力して救急隊員の到着まで介抱を続けた。「私一人ではどうしようもなかった。心強い協力があってこそ」と話している。

 同署などによると、6月3日午後1時45分ごろ、同区葺合町の六甲山中の川沿いで、娘2人と遊んでいた吉田さんが近くの山道で少女2人を発見。1人は座り込み、もう1人は横になった状態で見つかった。

 体調を確認すると、か細い声で「だめかもしれない」。一酸化炭素(CO)中毒の可能性を伝えられた。川沿いのテント内で練炭自殺を図ったとみられる。

 携帯電話が通じず、近くの公衆電話から119番。救急隊員の到着まで周囲の人たちと連携し、少女たちの体をさすって「頑張れ」と声をかけ続けた。2人は入院したが、命に別条はなかったという。

 吉田さんは次女のたおさん(6)と一緒に感謝状を受け取り、「彼女たちにも生きていてよかったと思える時間がきっとくる」と願った。(森下陽介)

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