WRC『69』戦目で劇的勝利の“スーパーサブ”ロバンペラ。ぶっつけ本番で出走も王者の貫禄見せる

 6月27日(木)から30日(日)にかけて、東欧ポーランドにて2024年WRC世界ラリー選手権第7戦『ラリー・ポーランド』が行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)からは3台のトヨタGRヤリス・ラリー1が出走し、急きょ代役として出走したカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)が総合優勝を飾った。

 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)も2位表彰台を獲得し、TGR-WRTはワン・ツーフィニッシュを達成。勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)も、大会前半は苦戦しつつも日曜日にペースを上げ、総合8位でフィニッシュ。合計で6ポイントを獲得している。

 7年ぶりのWRC開催となった『ラリー・ポーランド』の最終日デイ4は、サービスパークの周辺から西側のエリアで2本のステージを各2回走行。4本のステージの合計距離は63.06km、リエゾン(公道区間)も含めた総距離は190.18kmだ。デイ4も天気は良く、4本のステージともドライコンディションでの戦いとなった。

 デイ3で総合首位に立ったロバンペラは、総合2番手のアンドレアス・ミケルセン(ヒョンデi20 Nラリー1)に9.4秒のリードで迎えたオープニングのSS16で2番手タイムを記録。

2024年WRC第7戦ラリー・ポーランド カッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)

 そして、このステージでミケルセンがタイヤのトラブルにより大幅にタイムを失ったことにより、ロバンペラは大幅にリードを拡大。そして、3番手タイムを記録していたエバンスは総合2番手に順位を上げた。

 その後、SS18ではロバンペラが今大会9本目となるベストタイムを刻み、総合2番手エバンスとの差を20.6秒に。迎えた最終パワーステージでロバンペラは3番手タイムを記録し、第3戦サファリ・ラリー・ケニア以来となる今シーズン2勝目を飾った。

 ロバンペラはこれでWRCトップカテゴリーでの優勝回数は『13』となり、69号車をドライブするロバンペラにとって、WRC69戦目を勝利で華々しく飾った。

 一方、エバンスは最終パワーステージでタイヤから空気が抜けてしまい、7番手タイムと遅れをとったものの総合2番手の座を守り切って今季4回目の表彰台を獲得した。

2024年WRC第7戦ラリー・ポーランド ロバンペラ組に続く2位表彰台でトヨタのワン・ツーフィニッシュを支えたエバンス/マーティン組

 日曜日の合計タイムによってのみ争われる“スーパーサンデー”は、ロバンペラが2位、エバンスが4位でぞれぞれポイントを獲得。ロバンペラは土曜日までの順位で獲得したポイントに、スーパーサンデーとパワーステージで得たポイントを加え、ドライバー選手権6位に順位を上げた。

 また、エバンスはパワーステージのポイントこそ逃したが、合計では選手権首位を争うライバルたちよりも多くのポイントを獲得。ドライバー選手権では単独2位に復帰し、首位ティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)との差を15ポイントに縮めた。

 なお、TGR-WRTはマニュファクチャラー選手権2位の座を守り、首位ヒョンデ・シェル・モービスWRTとの差を10ポイントに縮めている。

 今回が『ラリー・ポーランド』初出場だった勝田は、最終日も総合8位を守りフィニッシュ。パワーステージは5番手タイム、スーパーサンデーでは6位に入り、合計6ポイントを獲得して大会を終えた。

2024年WRC第7戦ラリー・ポーランド 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)

 TGR-WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表は、「カッレ(・ロバンペラ)とヨンネ(・ハルットゥネン)がこのラリーで優勝できたのは、信じられないことだ」と、“スーパーサブ”ロバンペラ組の勝利を喜んだ。

「火曜日の午後、カッレに連絡してポーランドへの出場を依頼した時には、優勝は期待していないと彼に伝えていた」

「それでもカッレの実力ならば、少なくともトップ5に入れることは分かっていたし、それでも選手権では我々にとって有利になるだろうと考えていた」

「もちろん、準備時間のない状態でラリーをスタートさせるのは、選手たちにとって決して良い方法ではないことは分かっていた。それでもチームのことを考え、全力でサポートし、多くのポイントをもたらしてくれた彼らに心から感謝する」

2024年WRC第7戦ラリー・ポーランド 表彰式で勝利を喜ぶカッレ・ロバンペラとヤリ-マティ・ラトバラ代表

「また、この週末カッレとヨンネをサポートするために全力を尽くしてくれた、エルフィン(・エバンス)とスコット(・マーティン)にも感謝したい」

「ワン・ツーフィニッシュという結果は、これ以上ないほど素晴らしいものだ。エルフィンがより多くの選手権ポイントを獲得できなかったことは残念だが、それでも全体的にはポジティブなリザルトを得られたと思う」

 2024年WRCの次戦『ラリー・ラトビア』は、これまでERCヨーロッパ・ラリー選手権ではお馴染みの大会で、WRCイベントとしては初の開催となる。今大会同様に、高速のグラベルラリーとなっており、今大会と同じかそれ以上にチャレンジングなラウンドになるだろう。2024年シーズン第8戦目となる『ラリー・ラトビア』は、7月18日(木)から21日(日)にかけて開催される予定だ。

2024年WRC第7戦ラリー・ポーランド 今季2勝目を飾ったカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)
2024年WRC第7戦ラリー・ポーランド 総合優勝のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)とTGR-WRTのチームスタッフ

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