「ここまでやるなんてマジですごい!」 山に放置のスカイライン“奇跡のビフォーアフター”に圧倒

日産スカイラインの驚きの復活計画が進行中だ【写真:X(@naaao_33)より】

「3400台程度」のモデル…部品取りになる前までは公道走行可能な状態で保管

どこからどう見てもスクラップ寸前の1台。山の中に放置されていた。実は日産スカイラインで、しかもレア車種。内装がピカピカによみがえり、驚きのビフォーアフターが進んでいる。SNSで「ここまでやるなんてマジですごい!」と話題沸騰。“執念の復活”に取り組む、クルマ愛にあふれる投稿者に話を聞いた。

真っ黒のボディーは泥だらけ。見るも無残なボロボロの状態だ。それが、座り心地のよさそうなシートの新品同様の座席空間に生まれ変わった。ハンドルもちゃんと戻ってきた。「マジで褒めてほしい」と投稿した一目瞭然の写真だけでなく、「動画で見るビフォーアフター」も公開された。

Xの投稿者はNaaao(@naaao_33)さん。物心ついた時からのクルマ好きの27歳男性で、「仕事は車検、整備、買取、販売、陸送とクルマに関わることは何でもやります」。筋金入りだ。さらに、「シャコタン系のカスタムカーやレーシングカー、オフロード車両やデコトラなど、とにかくタイヤの付いた乗り物が大好きでクルマに人生を全部振りしたタイプの人間です!」と熱く語る。

今回、修復に取り組んでいるのは、世界的な注目度を誇るスカイラインだ。それも、ひと味違うものだという。

「日産スカイラインR34になります。ENR34と言って、4駆モデルになりますが、四駆MTのセダンは3400台程度しか生産されていないので、珍しいと思います」。丁寧に解説してくれた。

いわゆる“部品取り車”だった。「5年ほど前に他の事故車を直すために外装部品がもぎ取られ、ドアがない状態で山の中に放置されていた車両になります。部品取りになる前までは公道走行可能な状態で保管されていました」。貴重モデルでも運命は残酷。解体されてしまう瀬戸際だったのだ。

今回、あるオファーを受け、レストア計画が始動した。「お客さんが乗りたいということで仕上げてくれという依頼で始まりました。はぎ取られた外装部品を一通り集め終わり、内装部品に関しては不足分はなかったので比較的スムーズに進んでおります」。

オリジナルの部品をできるだけ生かす努力をしている。「内装部品に関しては、ネットオークション等で中古を付ければ清掃する手間はだいぶ減りますが、壊れてもいない汚れているだけの部品をゴミにするのはもったいないので、きれいにしています」とこだわりを示す。

作業は今年6月からスタート。「他の作業もしながらこのクルマにも時間を割いてとなるのが、一番の苦労かもしれません(笑)。本当はずっと付きっきりでやることができれば1か月程度で全部終わるのですが……。作業的にはひたすら掃除なので、黙々とやれて特別に大変な作業はないのですが、量が量なので『本当に終わるのかよぉ』と弱音を吐きながらやってます。朝9時から夜8時まで昼も食べずにずっとやって、やっと車内が完成といった頃合いです(笑)」。まさに飲まず食わずで、一心不乱に作業を続けている。

投稿は1.4万以上のいいねを集めており、「めちゃキレイになってる!!!!」「俺だったら諦めてる…すごすぎる」「あそこまでなっていたのを治したのはマジで凄いです!」「素晴らしい」と、驚がくと絶賛の声が続々集まっている。

「綺麗事を語っておりますが、(レストアに熱中する)一番の理由は『こんなに汚いのきれいにしたらすごいっしょ?』の自己満足です(笑)。ツイート本文も『褒めてほしい』とあるように、スゲー!って 言われて他人に褒められたいだけです(笑)。最後はお客さんに『スゲェ!』って褒めてもらえれば大満足です」。生き生きとしたNaaaoさんの言葉には、クルマへの情熱がにじみ出ている。

飲まず食わずの集中した作業によって生まれ変わった【写真:X(@naaao_33)より】

「壊れた本当の根本を探って、内部部品1個を取り替えてあげれば直ります」

今後の目標は「とにかくお客さんに満足してもらうことですね! やっぱり褒められたいので(笑)。誰がどう見てもスクラップだった車が、公道で一般車にまぎれて“ごく普通のクルマ”としてよみがえってくれたら自分は満足です。誰かの日常の一コマになれるのってすごく幸せなことだと思うので!」。聞いているこちらがうれしくなる。

旧車ブームの裏で、修理・管理の難しさは課題としてのしかかる。愛着のある古いクルマをいつまでも大事に残したい――。愛好家の切なる願いだ。

Naaaoさんは、修理のエキスパートとして熱い思いを持っている。

「今は簡単に物が手に入る時代ですが、何でもかんでも買ってしまうとお金が追いつきません。今あるものをどうにかして直す気持ちが大事です。

特に古いクルマは電装関係が壊れますが、大体が内部のハンダやモーターコイル等の不調です。所詮工業製品なので、使われている内部部品については、規格に適合するパーツが必ず世の中に存在します! メーカーでASSY(ユニット丸ごと)が出ないからと言って諦めず、壊れた本当の根本を探って、内部部品1個を取り替えてあげれば直ります。それをせずに捨てるなんてもったいない!」

今回のスカイライン復活についても、諦めない心が重要であることを強調。「今回もシートなど内装部品はネットオークションでそろえれば簡易清掃で終わるので、そんなに手間はかかりません。でも掃除さえすれば使える物を捨てるのはもったいない! 自分が清掃で終わらせた分、誰か違う人に内装部品が行き渡り、また1台どこかでスカイラインが生き続けられることになります。古いクルマだからこそ、他の誰かのために今ある物を大事にしてあげてください」と結んだ。ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム

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