新規就農者支援事業3年目 「のれん分け方式」着実に担い手育てる 福島県のJAふくしま未来

伊藤さんからモモ栽培の指導を受ける斎藤さん(左)

 JAふくしま未来(本店・福島市)による新規就農者支援事業が3年目に入り、着実な担い手確保につながっている。これまでに計28人が県北地方など管内で就農した。同JAは先輩農家からの指導を経て独立する仕組みが定着につながっているとみており、産地維持に向け事業推進に力を入れる。

 事業は「のれん分け方式」と銘打ち、先輩農家での2年間を基本とした研修を経て就農につなげる。2022(令和4)、2023の両年度で計34人が活用。このうち28人が独立した。残る6人は研修を継続しており、離農者はゼロだ。34人が栽培するのはキュウリが17人、モモが6人などふくしま未来を代表する作物が多い。

 今年度は5月末時点で4人だが、この他に相談に訪れる希望者がいるという。管内農家約100件が指導に協力できる体制を整えている。

 福島市の斎藤潤さん(40)は4月から、市内の果樹農家伊藤由英さん(40)の指導を受けモモとリンゴの栽培方法を学んでいる。農作業は気象条件などに左右されやすく、単独では判断しにくい場合もあるといい「作業しながら疑問をすぐに聞けるのは心強い」と技術の習得に励む。

 伊藤さんは斎藤さんを含め計4人を受け入れてきた。指導側に立ち、「自分自身が栽培に理解を深める機会にもなっている」と事業の効果を語る。

 ふくしま未来は今後も事業を継続する方針。数又清市組合長は「技術を継承し、基幹作物の産地をしっかり守っていきたい」と話している。

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