必見!!生誕88年早川義孝(はやかわぎこう)展③前編@柏市民ギャラリー

こんにちは、柏 おどりです。

芸術が身近で楽しめるような日常、そんな場所がパレット柏の市民ギャラリーにあります。

パレット柏内柏市民ギャラリーは、柏駅より徒歩3分、DayOneタワー3Fです。

ドンキホーテの向かい、柏の葉っぱがたくさんデザインされたビルの入り口のエスカレーターで3階までお越しください。

生誕88年 早川義孝展

みなさん「早川義孝展」デジタルスタンプラリーは参加されましたか?

スタンプラリーについては、以前ご紹介していますので、関連記事よりご参照ください。

早川義孝展①デジタルスタンプラリー 早川先生の作品と柏を巡る!前編@柏

早川義孝展②デジタルスタンプラリー 早川先生の作品と柏を巡る!後編@柏

ぜひこちらも参加して、会場外の早川先生の作品もお楽しみくださいね。

会期 2024年7月12日(金)~ 8月5日(月)

時間 10:00〜18:00(最終入館17:30)

場所 パレット柏 柏市民ギャラリー(DayOneタワー3F)

料金 一般500円 高校生以下無料 障害者手帳をお持ちの方と介助の方1名無料

主催 柏市文化・交流複合施設パレット柏

共催 柏市教育委員会

特別協力 しもだて美術館

早川義孝(はやかわぎこう)先生について

撮影 座間博

早川義孝先生は(1936-2012)洋画家、心象画家、四季吟遊詩想画人。新槐樹社元名誉会長。国内外多数の個展を開催。画集多数。

東京浅草生まれ、その後強制疎開のため一家で柏に移住。当時の柏は現在とはかけ離れた農村地帯で、山あり、谷あり、田んぼあり、さまざまな木々が茂り、泉が湧く、そんなのどかな美しい風景がひろがっていました。

柏に移ってきた早川少年は、この柏という土地に「ぼくはもうここを離れたくないと思った」そうです。以後、早川先生は柏を永住の地とされました。この柏の土地の記憶、サーカス、月、どんぐり、林、ぶどう、蝶などのモチーフがそうで、これらは先生の少年時代の世界で永遠であり、夢でもあり、そして先生自身でもあるように思いました。

参考文献 『MADO美術館 早川義孝画集』著者早川義孝 平成5年11月18日発行

写真家・座間博(ざまひろし)さんについて

今回お話をお聞かせいただいた座間博さん(スタンプラリー前編でもご紹介)は、月や花などを対象にカメラを構え、個展をされてきた写真家です。そして、長年早川先生をどこまでも追いかけて撮りつづけてきました。お二人の出会いは早川先生と奥様が経営されていたギャラリー兼カフェのギャラリーモカです。

モカで無料の展覧会ができるという話を聞いて、座間さんはモカを訪れます。そこで初めて観た早川先生の「リラ咲く村の夜」

その絵に、とても運命的なものを感じたそうです。

座間さんは先生の展覧会ではカメラを携え、お休みの日には二人で釣りに出掛けるなど長く親交を深めていきます。そして、座間さんはいつしか先生の心象風景を自分の感性で撮りたいと思うようになったそうです。

座間さんは毎年柏市民ギャラリーで、柊展のメンバーの一員として風景写真を展示していましたが、今年「早川義孝展」の宣伝に力を入れようとこのようなブースを作っていらっしゃいました。私はしもだて美術館「早川義孝展」で飾られていた写真と同じものがたくさんあってびっくりしたのですが、これらの写真は座間さんが撮影されたものだったのです。

先生の肖像写真はモカで撮影したそうです。『小さな絵話詩』は、早川義孝先生著書の詩画集ですが、1ページ目に、座間博さん撮影のこの早川先生の肖像写真が使われています。

また、座間さんの特別な「リラ咲く村の夜」もこの詩画集に掲載されています。

「リラ咲く村の夜」『小さな絵話詩』著者早川義孝 1994年12月10日発行

しもだて美術館 開館20周年記念「早川義孝展」~色彩のシンフォニー~

しもだて美術館「早川義孝展」~色彩のシンフォニー~ 会場内の様子

2024年2月のとある日、私は茨城県筑西市にあるしもだて美術館を訪れていました。早川義孝先生の大規模な個展開催の情報を入手していたからです。こちらの早川先生の作品はすべて写真撮影がOK、写真掲載の許可もいただいたのでこの記事でいくつかご紹介したいと思います。(額のガラス面の反射により、少し斜めから撮影したものが多く、少し見づらいかもしれません。)

高校2年生で描いた【家族】が文部大臣奨励賞を受賞

こちらの「家族」という作品は、長らく眠っておりました早川先生の千葉県立東葛飾高等学校時代の貴重な絵画です。1954年の全日本学生油絵コンクールで文部大臣奨励賞を受賞した作品なのです。

なんと、絵を始められて(美術部に入部して)わずか1年後の話なのです。信じられないですよね。素人の私でも、これは凄いなと感じる作品でした。ピカソのような特徴的な作風、その中に3人の人物が描かれ、お皿にのる魚や瓶なども見えます。また翌年も同コンクールを「夕暮れと街」で文部大臣奨励賞を受賞しています。さらに、千葉県美術展において「家、赤い道そして夕日」で最年少にして千葉県知事賞を受賞しています。

「家族」早川義孝 しもだて美術館蔵

シンドバッドの船 シェヘラザード×金毘羅船船

早川先生といえば、シンドバッドの船が最初に浮かぶ方も多いでしょう。しかしあの船は、有名なシンドバッドのお話ではなく、リムスキー・コルサコフという作曲家が作った「シェヘラザート」という曲から誕生したのだそうです。「シェヘラザート」というのは『千夜一夜物語』(アラビアンナイト)の語り手「シェヘラザート」という娘の物語をテーマとしています。

また、先生は「シェヘラザード」を聞いた時に、金毘羅船船(こんぴらふねふね)という民謡(香川県の民謡、お座敷遊びの唄としても知られる)の旋律に非常に似ているものがあったのだそうです。私もどちらも聴き比べてみました。音楽知識のない私はその旋律に気づけませんでしたが、シェヘラザードは先生がおっしゃるようにとてもドラマティック!金毘羅船船は体でついついリズムをとり、踊りだしたくなるような曲でした。

ドラマティックなロシア音楽と、庶民の素朴な日本らしい伝承歌。ロシアと日本の音が溶け合って、その音を色に変えて、シンドバッドの船が描かれているのかと思うと平和の船のようにも見えてきました。

評論家になろうと思ったこともあるほどの音楽に精通した早川先生。音楽をテーマにして描いた時代もあるそうです。

空に

黒い月だ

いよいよ出航だ

ティンパニーが高く響く

古代模様の

波の上に

ぼくはクレイヨンで

少年の日の

あの船を

大きく描いた

早川先生の最も有名な詩ですね。

「シンドバッドの船」早川義孝 しもだて美術館蔵

参考文献 『MADO美術館 早川義孝画集』著者早川義孝 平成5年11月18日発行

月とサーカス

現在の柏にも木下大サーカスが来てますよね。早川先生が少年の日にみた戦後まもなくの柏のサーカスは、洋風より和風(ヘビ女とか)が多かったそうですよ。サーカスはこどものあこがれでもあるんだけど、何か怖いものがあったそう。

先生のサーカスにはピエロとか空中ブランコ乗りなどの団員は一切でてこないんですよね。

サーカスに限らずほかの絵にも人物は描かれていません(先生自身であるかの少年を除いて)。

月が出ていて、寝静まった夜の天上のサーカスみたいです。

「月とサーカス」早川義孝 しもだて美術館蔵

参考文献 『MADO美術館 早川義孝画集』著者早川義孝 平成5年11月18日発行

まだまだ早川先生の至宝を巡る航海は続く…

次回、必見!!生誕88年早川義孝(はやかわぎこう)展④後編@柏市民ギャラリーでお逢いしましょう!

柏 おどり

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