MLB大谷翔平だけじゃない!メジャーで夢を叶える日本人プロレスラー”オカダ・カズチカ”

新日本プロレスを契約満了で退団後、アメリカメジャープロレス団体・AEWへの移籍を果たしたオカダ・カズチカ(写真)。おなじみのテーマ曲と共にサプライズ登場、会場は割れんばかりの大歓声に包まれた。 – 2024年3月6日(現地時間)、ジョージア州ダルース ガス・サウス・アリーナ –

史上最高額の契約でロサンゼルズ・ドジャースに移籍した大谷翔平を筆頭に、MLBの世界では今季から山本由伸、今永昇太といった新たな移籍組を含め、ダルビッシュ有、前田健太、鈴木誠也、吉田正尚といった面々の活躍が、連日我々日本人を楽しませてくれているのは周知の事実だろう。

そんなアメリカにおけるエンターテイメントスポーツ界において、今年から新たに脚光を浴びて活躍する一人の”メジャー・リーガー”がいるのをご存じだろうか?それは今年3月、アメリカのメジャープロレス団体であるAEW(オール・エリート・レスリング)に、日本のプロレス団体から電撃的に移籍したオカダ・カズチカ、その人だ。

オカダは15年以上に渡って、日本でトップの人気と実力を誇るプロレス団体である新日本プロレス所属のレスラーとして活躍してきた。これまで並み居る強豪と数多くの名勝負を繰り返して幾度となく王座を獲得し、人気と実力も兼ね備えたまさに新日本の看板レスラーとして君臨してきた存在だ。

それが2023年末、新日本との来期の所属契約を行わないことを突如明言し、その去就がファンの間で注目されていた。様々な移籍先団体の噂が飛び交う中、オカダが選んだ新天地こそが、先のアメリカのプロレス団体・AEWだったのだ。

2019年、アメリカンフットボールNFLの所属チームであるジャクソンビル・ジャガーズのオーナーを父に持つトニー・カーンを代表に据え、ケニー・オメガ、ヤング・バックス、コーディ・ローデスといった、それまで日本を含むマイナーのプロレス団体で活躍してきたトップレスラー達を数多く伴って、鳴り物入りで誕生した超新星のようなプロレス団体・AEW。

旗揚げ当初からいち早くアメリカ全米ネットワークにおける放映権を獲得し、わずか5年の間に、アメリカプロレス界で一強と称される超メジャー団体であるWWE(ワールド・レスリング・エンターテインメント)に人気・実力共に今や並び立つほどの地位を獲得している。そんなAEWにオカダ・カズチカが今回移籍を果たしたのだから、ファンはもちろんアメプロ業界における注目度も計り知れない。

果たしてオカダは、なぜ日本での絶大な人気と地位を投げうって、今回AEW移籍を決断するに至ったのか。そこには様々な憶測が流れているものの、彼が古巣である新日本プロレスを去る際に、退団の理由として自身の言葉として語った、「これからの自分にもっと期待してみたい。それには今の環境を変える必要がある」という趣旨の発言にこそ、そのすべてが集約していると感じざるを得ない。

オカダのような日本でトップに君臨した実力者であればこそ、エンターテインメントプロレスの本場アメリカで、自分の真の実力を試してみたいと思うのは、至極当然の成り行きなのだろう。日本プロ野球界で一時代を築いた選手達が、次から次へとMLBの舞台へと挑戦するように、プロレスラーであるオカダも”メジャー”という高見へと、自らのこれまでの地位や境遇をかなぐり捨てて挑戦したい意欲が湧くのも決して不思議なことではないのだろう。

だが、プロレスラーの日米間の移籍はプロ野球と違い、MLBとNPBの協約によるFA権の取得といった確固たるシステムが整備されているわけではない。あくまでレスラー個人が代理人を立て、それこそゼロから交渉の場に立って契約を勝ち取らねばならない。その点においても、今回のオカダの移籍劇は誰もが容易になし得ることはできない、まさに日本のトップレスラーとしての実力があればこその堂々たる”事件”だったのだ。

これまでも少なくない日本人レスラーが、主戦場である日本マット界からアメリカへと渡り、長らくの下積みを含め挑戦を続けてきた歴史がある中で、オカダ・カズチカほど移籍と同時に団体内のトップレスラーとして迎え入れられた例は、ほぼほぼ過去に例がないのではないだろうか。アメリカプロレス団体の雄であるAEW所属の日本人メジャー・リーガーたるプロレスラー、オカダ・カズチカ。彼のこれからの一挙手一投足に、ファンとしてますます目が離せない。

このコラムでは、多分にファン目線の憶測と期待を交えながら、プロレス初心者の方にもできるだけ分かりやすく紹介していきたい。そして微力ながら、さらなるプロレス人気の多少なりとも底上げの一助となることを願ってやまない。

今後ともどうぞお付き合い願いたい。

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