宇宙の海は俺の海!何度も挑んで達人を越えて宇宙海賊王となれ!デッキ構築型ローグライト『コスモ・パイレーツ』【プレイレポ】

宇宙の海は俺の海!何度も挑んで達人を越えて宇宙海賊王となれ!デッキ構築型ローグライト『コスモ・パイレーツ』【プレイレポ】

宇宙海賊王になることに果てしない憧れを抱いたことはありませんか?そんな人のために、デッキ構築型ローグライト『コスモ・パイレーツ』のプレイレポートをお届けします。

なお、今回のプレイレポートの執筆にあたり、BlackMoon DesignからSteamキーの提供を受けています。

『コスモ・パイレーツ』とは

本作はBlackMoon Designが2024年6月21日にSteamで配信した、デッキ構築型ローグライトです。いわゆる『Slay the Spire』ライクの1作で、プレイヤーは宇宙船を駆り、宇宙中に点在する敵対勢力を倒しながら新たなカードをデッキに加え、修理拠点で宇宙船の修理やカードの削除を行いながら理想のデッキ構築をし、宇宙の果てにいる「パイレーツ・ロード」の打倒を目指します。

宇宙船を倒すか?クルーを全滅させるか?プレイヤーの選択が問われるデッキ構築型ローグライト

ゲームを新規開始すると、キャラクターの顔や肌の色、名前を決定するキャラクターメイキングから始まります。顔の各パーツにはかなり「濃い」パーツが揃っているので、出来上がるキャラクターも「濃い」キャラクターになりがちですが、容姿でゲームの進行に影響は一切ないので面倒ならランダムでパッと決めるのも手です。もちろん自分なりのお気に入りキャラを追求しても問題ありません。

キャラクター作成を終えると、プレイヤーは宇宙の賞金稼ぎとして、宇宙海賊の撃滅の依頼を受けることになります。ここからがプレイヤーの戦いの始まりです。

宇宙は2Dグリッド上のマップで構成されます。移動に伴う燃料制限などは特になく、WASDキー、あるいは移動したい場所へのダブルクリックで宇宙を自由に移動できます。

敵対する宇宙船の周辺に近づくと敵宇宙船との戦闘になります。戦闘形式は『Slay the Spire』とほぼ同様のカードを使用して敵と戦う形式ですが、『Slay the Spire』と異なる点がいくつかあります。以下にそれらの点を列挙します。

特に重要なのは「宇宙船」と「クルー」の関係で、敵の宇宙船を撃破するのか、それとも敵のクルーの全滅を目指すのかでデッキビルドの方向性がまるで違ってきます。初期デッキは固定で宇宙船撃破にしてもクルー全滅にしても中途半端などっちつかずな性能なので、ゲームの進行によるカードの入手に応じて、デッキをどちらかの方向性に尖らせていくことになるでしょう。また、対宇宙船用の武器もエネルギー(PP)を充填して放つレーザー主体か、それとも装填が必要なミサイル主体で戦っていくのかでデッキ構築の方向性が変わってきます。

敵にもさまざまなタイプがおり、登場している宇宙船は強いがクルーが貧弱、あるいはその逆に宇宙船は脆いがクルーが強力な敵などが存在しています。特にクトゥルー神話を彷彿とさせる異形のスペースモンスターは、クルー自体が破格のHPと攻撃回避能力を持っているため、敵クルー全滅方向のデッキでは相当の苦戦を強いられるでしょう。こういった相性の悪い敵に対しては戦闘自体を回避するか、あるいはどうしても戦闘回避できない場合はこちらの敗北も覚悟で尖ったデッキで挑むのか、プレイヤーは選択を強いられます。

味方クルーはマップ上に点在するランダムイベントの結果によってたまに参入させることができます。毎回の戦闘が終わるごとに味方クルーのHPは全回復される(宇宙船のダメージはそのまま)ため、敵のクルーへの攻撃は比較的影響が薄いのですが、中にはクルーへの攻撃に猛特化したような敵もいます。そういった敵との戦闘に備えて、クルーを増やしておくのは有効な選択です。また、クルーを連れて戦闘に勝利していくとクルーがレベルアップし、戦闘中に様々な有利なパッシブスキルをもたらしてくれるようになります。

また、マップ上に点在する「ポート」では宇宙船の修理と、カードの削除を行うことができます、1つのポートにつきカード削除は1回しか行えませんが、1マップ上に複数のポートがあり、またカード削除に必要な価格も安価で値上がりすることもないため、本ゲームではデッキを狙った方向に圧縮していくのは比較的容易です。

「中古屋」で宇宙船を買い替えることもできます。初期の宇宙船には何の特殊能力もなく、HPも低いですが、「中古屋」にはさまざまなパッシブ能力を持ち、HPも高い宇宙船が並ぶことがあります。お金に余裕があれば、現在のデッキの方向性に合った宇宙船に適宜買い替えていくことでゲームを有利に進めることができるでしょう。

しかしながら本ゲームの中盤以降のステージの敵は強力で、初回プレイでのクリアはまず不可能と言っていいほど難易度は高いです。

安心してください。プレイヤーはクローン技術により何度でも蘇ることができます!宇宙船とクルー、そしてデッキは初期内容に戻されてしまいますが、アイテムのコレクションや資金、育てたクルーのレベルはそのまま引き継ぐことができます。

アイテムは『Slay the Spire』で言うところの「レリック」に相当するアイテムで、敵ボスの撃破やショップで手に入れることができます。但し持っているアイテムの効果が全て適用されるわけではなく、頭・腕(2種)・胴・腰・足の6部位に装備したアイテム効果のみが有効になります。アイテムの中で扱いやすいのは「AP(各カードの発動に必要なコスト)を1増やす」もので、悩んだらこの効果を持つアイテムを装備しておけばよいでしょう。かくして、周回プレイを繰り返すことでアイテムが充実し、プレイヤーは「パイレーツ・ロード」に対抗していけるだけの強さを身につけることができるのです。

己の敵は己自身だ!終わりなき宇宙海賊王を目指す戦い

本作では「パイレーツ・ロード」を倒しても戦いは終わりません。何故なら……「パイレーツ・ロード」を倒した者は新たな「パイレーツ・ロード」となるからです!

どういうことかと申しますと、前回ラスボスを倒したプレイヤーが宇宙船・クルー・デッキそのままにラスボスとして襲ってきます。プレイヤーは前回を上回るデッキを持って、ラスボスに挑む必要がある……という訳です。己の敵は己じゃ!というわけですね。

何はともあれ、敵味方のライフリソースを「宇宙船」「クルー」に分割したことやデッキ圧縮のやりやすさによるデッキ構築パターンの多様化や、引き継ぎ可能な多数のアイテムの存在で本作は『Slay the Spire』よりも遊びやすく、そして充分な差別化を図ることに成功したデッキ構築型ローグライクゲームかと思います。新しいプレイ感覚のデッキ構築型ローグライクを求めている方には、本作は充分にお勧めできるゲームだと筆者は思います。

スパくんのひとこと

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