「いつか甲子園へ」審判修行 青森山田高調理科1年・加藤晟虎さん 中華料理店の夢と両立

試合の合間に、審判の動きなどを東谷さん(左)から教わる加藤さん=6月29日、青森市の青森山田高校グラウンド

 青森山田高校(青森市)調理科1年の加藤晟虎(せいが)さん(15)=同市=が、高校野球の審判員を目指し、練習試合で経験を積んでいる。将来の夢は「中華料理店を開くこと」だが、この春、もう一つの目標を見つけ、新たな一歩を踏み出した。「いつか、審判の立場で甲子園に立ってみたい」

 加藤さんは大野小、青森南中では軟式の野球部に所属。料理が好きで、青森山田高校調理科に進んだら、調理の勉強に集中するために野球をやめると決めていた。

 今年4月、高校野球の青森地区の試合を見に行った際、大会パンフレットで、県高野連が審判を募集しているのを知った。「やってみたい」。その場で審判員に声をかけ、“修業”入りが決まった。

 同校硬式野球部の協力もあり、それから10試合ほど練習試合で塁審を経験。6月29日、同校グラウンドで行われた練習試合でも二塁塁審を担当し、けん制の際どいプレーでは「セーフ!」と俊敏な動きを見せた。

 29日は県高野連付属審判部の千葉俊春・青森支部長(74)が見守り、立ち位置や動き方などを加藤さんに指導した。千葉支部長によると、県高野連の審判は高齢化が進んでおり、70代が10人近くに上る。15歳の挑戦を歓迎し、「学校や家族のことを第一にしながら、とにかく審判を楽しんでやってほしい。いずれは甲子園を目指してほしい」とエールを送った。

 球審を務めた、審判員歴6年目の同支部の東谷龍汰さん(24)も「ようやく下の世代が入ってくれた」とうれしそうに話し、「焦らずに、ゆっくり一つずつ覚えてくれれば」と温かいまなざしを向ける。

 学業の傍ら、時間を見つけては野球のルールブックを読み、鏡の前でジャッジの美しいフォームを練習しているという加藤さん。「野球と関われて楽しい」と笑顔を見せる一方で、「選手と動きが違い、常に中立の立場で試合を見ていなければいけないところが難しい」。千葉支部長によると、加藤さんは早ければ今秋にも、公式戦で審判を務める。

© 株式会社東奥日報社