奥入瀬渓流(青森県)オーバーツーリズム対策へ 今秋の紅葉期に実態調査 交通量、人流を把握

オーバーツーリズム対策で今秋、AIカメラを設置する奥入瀬渓流の石ケ戸休憩所付近=6月

 青森県や十和田市などは、奥入瀬渓流のオーバーツーリズム(観光公害)対策として、今秋の紅葉シーズンに観光客の実態調査を行う。石ケ戸休憩所に人工知能(AI)カメラを設置するなどして交通量や人の流れを把握、分析して今後の対策に役立てるほか、マナー啓発に向けたチラシの配布なども行い、観光客の適切な受け入れと地域住民の生活の確保、自然保護などを図る。

 国、県、十和田市、七戸町や民間団体などによる奥入瀬十和田利活用協議会が計画案をまとめ、6月中旬、環境省のオーバーツーリズム対策事業に申請した。補助金の交付が決定し次第、準備に着手し、10月のマイカー規制に合わせて実施する。

 奥入瀬渓流沿いの国道102号は国道4号や東北道と同渓流・十和田湖方面を結ぶ重要な観光道路。国道103号奥入瀬(青橅山=あおぶなやま=)バイパス完成後は交通規制が検討されているが、現状は津軽・南部地方や秋田県北を結ぶ産業・生活道路でもある。観光の季節には交通渋滞や局所的な混雑、観光客の遊歩道外への立ち入りなどが発生。また、行きたい場所に行けない、石ケ戸休憩所のトイレに行列ができる-など、観光客の満足度低下への懸念もある。

 同協議会は本年度、人流把握やマナー啓発のほか、仮設トイレや休憩できるベンチなどを設置して観光客の満足度低下を防ぎ、シャトルバス運行も充実させ、結果を分析・検証。来年度以降、観光バスの無秩序な駐停車への対応や、観光客が集中する石ケ戸休憩所-雲井の滝の「ゴールデンコース」以外の魅力的な場所の広報、混雑期以外の季節や時間のPR-といった対応につなげる方針だ。同協議会では「バイパス完成後の観光の在り方も見据え、対策を進めていきたい」としている。

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