つながる子育て応援イベント「経験と安心」交流の場に 出生数減少も市場18%増…多様化する育児支援

都内で子育て世帯や妊娠中の人を対象にしたイベントが開催され、最新のベビーカーや離乳食など多くの製品が展示され、プレママ・プレパパ向けのセミナーも行われた。専門家は、育児支援の多様化が市場拡大と少子化対策に寄与すると指摘している。

寄り添いつなぐ子育て応援イベント開催

子育て中、そして、これから子育てをするママとパパへ向けたイベントが開催された。

6月28日、東京・江東区の有明GYM-EXで行われたのは、子育て世帯や妊娠中の人たちなどを応援するイベント「Thanks ママフォーラム」。

ベビーカーがゆったりと通れるように設営された会場には、超コンパクトに畳める最新のベビーカーや、離乳食やおやつ、抱っこひもなど、お試しできるものが多数展示されている。

スタッフ:
(抱っこひも)いい感じ?

子ども:
いい。

また、子どもの洋服やおもちゃなど、使わなくなった物を、無料で次の人へ渡す「おゆずり会」も開催された。

「おゆずり会」スタッフ:
持ってきていただいて、いつもありがとうございます。ありがとね。思い出を次の子にバトンタッチね。

来場者:
すぐ着られなくなっちゃうからもったいないなと思って、次の子にと思って持ってきました。

来場者:
今は自分の好きな服って選んだりしないので、今のうちにお金を貯めておいて、欲しい服ができたら、好きなの買ってあげようと思って。

さらに、「体験」を通して子育てを応援するブースも。

ベビトレヨガや、子ども向けの交通安全教室など、親子で体験できるものもある中、こんなセミナーも開催された。

ミキハウススタッフ:
こんな感じで手を入れていただいて、お尻を軽く持ち上げてあげてください。

少しぎこちない手つきでおむつを着けているのは、これからママとパパになる人達。初めて迎える赤ちゃんのために、必要な準備を学ぶセミナーも行われた。

このような子育てイベントを開催した狙いはーー。

住友不動産商業マネジメント・藤勝之営業本部長:
(来場者の大半は)東京に住んでいる方ですので、実家が遠くにある。一つ一つの小さなことを相談する相手がいない。これから子育てする方、子育て中の方々、ママとパパに情報交換をしてもらって、繋がっていただくイベント。

プレママ・プレパパセミナー参加者:
何も分からない状態でいきなり子育てに突入するというのは心配ですし、こういう場があるだけで精神的に安心できる。

来場者:
さっきも月齢近い方と「こんにちは」みたいな感じで(交流した)。

新たなつながりで悩み解消へ。子育て応援イベントは6月29日まで行われた。

出生数減少も市場成長・ニーズ増加

「Live News α」では、デロイトトーマツグループ執行役の松江英夫さんに話を聞いた。

海老原優香 キャスター:
子育ての支援も、本当にさまざまな方法があるんですね。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
子育てに関する興味深い数字があり、それがここ7年間での“2割の変化”です。一つは、少子化による出生数が21%減少する反面で、ベビー関連市場(4兆4000億円)はなんと18%も増加しています。

海老原キャスター:
同じ2割の変化でも、全く逆の変化ですなんですね。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
元来、ベビー関連市場は、衣服をはじめ買い替え需要が見込める魅力ある市場ですが、さらに最近では、共働き世帯の増加による時短ニーズや、子どもへの教育ニーズが増加したことも広がりの要因です。

海老原キャスター:
子育ての負担を減らすことは、少子化対策にもつながりますよね。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
内閣府の調査によると「子育ての負担」については、「身体の疲れ」「精神的な疲れ」を感じる人の割合はそれぞれ4割近くあり、子育てに関して解決すべき課題は多く存在します。
今後、こうした課題を解決することでマーケットがさらに拡大する可能性がありますが、具体的には2つの方向性が考えられます。1つ目は、“育児”そのものから“育児生活を支える”という「ジャンルの広がり」です。2つ目は「時間の広がり」です。

海老原キャスター:
1つ目の「ジャンルの広がり」については、保育施設に併設された保護者のための休憩施設も登場しています。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
このような育児そのものではなくて、育児にまつわる親の生活の負担感を減らすサービスは、まだまだニーズがあると思います。従来の衣・食・ベビー用品・玩具といった“育児”のジャンルを超え、時短調理、見守り、家事代行、男性向け子育て商品の拡充などといった、育児に関連した”生活を支える”製品やサービスに対するニーズも広がっています。

育児を妊娠期から小学生まで長期に支援

海老原キャスター:
2つ目の「時間の広がり」についてはいかがですか。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
ベビー用品の小売では、ターゲット層を妊娠~出産期に拡大し、妊娠期間に合わせた情報発信や商品提案などで顧客を増やしたり、また逆に、小学校高学年まで広げて、靴や衣服などを年齢ごとに必要となる商品をワンストップで揃えることで、長い期間サポートできる工夫をしている例もあります。
少子化時代は、「一人一人の希少価値が高まる時代」でもありますが、子育てにまつわる課題を解決することで、子どもの価値がさらに高まる社会になることを期待します。

海老原キャスター:
自分で情報を集めて、さまざまなサービスやグッズなどを利用することも、もちろん大切ですが、一人で頑張りすぎず、周りの人や時には行政に頼ってみるなど、自分の心のケアも忘れないようにしてほしいなと思います。
(「Live News α」6月28日放送分より)

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