コメ高騰の原因「減反政策」長すぎたか コメの生産基盤を守るには「海外輸出に注力すべき」と専門家

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食卓にあがるコメの価格が上がっています。理由はコメの作付面積の減少。このまま作付面積が減少し続けると、コメの価格に影響を及ぼすだけでなく、日本のコメ作りの先細りにつながるおそれがあります。「日本のコメ作り」の未来について考えます。

実際にどれくらい主食用のコメの作付面積が減っているのか。2014年から2023年の10年間の推移を見ると、2014年は147万ヘクタールでしたが、少しずつ減っていき2023年は124万ヘクタールに。ここ10年をみても、15パーセントほど減少しています。

一体なぜ、作付面積は減少したのか。

そもそも人口減少で需要が減ったり、農家の数も年々減少したりする理由があります。しかし茨城大学農学部の西川邦夫准教授は「『国の政策』が結果として作付面積の減少をさらに助長してしまった」といいます。それが「2つコメの生産調整」と「転作」です。

コメの生産調整「減反政策」

1970年から2018年まで、コメを過剰に作らせないための国の政策「減反政策」が実施されました。かつて、コメの作りすぎが問題になりました。コメを作りすぎたことで、過剰米の処分に多額の税金が投入されたのです。昭和46年(1971年)から49年(1974年)の過剰米約740万トンを処分するのに約1兆円。昭和54年(1979年)から58年(1983年)の過剰米約600万トンを処分するのに約2兆円です。

市場にコメが出回りすぎて値崩れが起きたため、国はコメの全体の需給見通しを基に毎年生産量を決めて、「生産調整」をしていました。

本来、生産能力が100あっても生産調整で60しか作らせてもらえなかったのです。そうなると、生産調整した農家を守るために本来得られるはずだった収入を担保しようと、別の政策が生まれます。それが「転作」なのです。

転作とは、農地でそれまで生産していた農作物とは違う農作物を生産すること。国が補助金を出して飼料用のコメや大豆や麦などといった作物に転作を推奨してきました。つまりコメ100の収入をコメ60、コメ以外40(補助金付き)で賄おうとしたんです。

主食用のコメのニーズが減っていく中で、別の作物を作れば補助金が出て収入が確保できるとなると、「コメ以外の作物を少しずつ多めに作っていこうかな」となるかもしれません。

コメの生産基盤を守るには海外輸出に注力すべき

西川准教授は「もともと、日本のコメを守るための政策だったはずなのに、長くやりすぎてしまったため、結果としてますますコメ作りから遠ざけてしまった」といいます。国内の需要の劇的な回復は見込めない中でコメの生産基盤を守るには「海外輸出に力を入れることだ」と西川准教授は話します。

コメとコメの加工品の海外輸出の割合は、日本のコメの生産量の0.8%ほど。海外輸出を増やすと、たとえ日本国内の需要が減っても生産基盤は確保されたままになります。生産量も確保されるので、ゆくゆくは国内の価格も安く安定することが期待できます。また、価格が安くなれば、需要が少ない中でも消費の拡大が見込めるのでは、と話していました。

海外輸出が大きなポイントとなりそうですが、我々自身もコメを消費することがコメの価格を、そして日本のコメ作りの未来を守ることにつながるのではないでしょうか。

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