停止車両にスタックし勝利を失ったフェラーリ296 GT3「行き場はなかった」とピエール・グイディ/スパ24時間

 フェラーリのファクトリードライバー、アレッサンドロ・ピエール・グイディは、クラウドストライク・スパ24時間の100周年記念レースにおける決定的瞬間を振り返り、ピット入口がGRTグラッサー・レーシング・チームの19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 EVO2によってブロックされていることを知っていれば、「(ピットインせずに)もう1周走れたかもしれない」と語った。

 ピエール・グイディがアレッシオ・ロベラ、ダビデ・リゴンとともにドライブしたAFコルセの51号車フェラーリ296 GT3は、6月29〜30日にベルギーのスパ・フランコルシャンで行われた伝統の24時間レースで勝利に向かっているように見えたが、その挑戦は最終ピットストップの際に奇妙な形で崩壊した。

 テレビ映像には、当時ヒューゴ・クックが運転していたランボルギーニの19号車が、首位ピエール・グイディがレース最後の作業のためピットインした直後に、ピット入口で立ち往生して動かなくなっている様子が映っていた。24時間レースの残り49分というタイミングだった。

 クックが狭いピットロード入口を塞いでいたため、ピエール・グイディは追い越すことができず、ランボルギーニが牽引されて入口がクリアになるまでのおよそ1分を、停車して待たなければならなかった。

 この遅れにより、フェラーリは4年ぶり2度目のスパ24時間レース優勝を逃したが、ピエール・グイディは最終的に優勝したコムトゥーユー・レーシング7号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3に次ぐ2位にまで追い上げた。

 レース後、ピエール・グイディは、51号車がピット入口に近づいた時点では、自分もAFコルセのチームも停止車両に気付いていなかったと説明。最大スティントの長さが残っていたため、問題に気付いていれば、さらに1周走ることができていただろうと付け加えた。

「実際、考えることはあまりなかったんだ」とピエール・グイディは語った。

「スペースがあるかどうか探そうとしたが、なかった。真ん中に止まっていたし、トラックもいたし、オーガナイザーの車両もそのマシンを引っ張ろうとしていたので、行き場はなかった」

「(チームの)みんなに、モニター画面の(レースコントロールからの)メッセージを見なかったかと聞いたけど、残念ながら誰も画面にメッセージを表示しなかった」

「ピットレーンはブロックされていたけど、僕はそれを知らなかった。実際、僕はもう一周できたんだ」

「運転時間は非常にタイトだったけど、それはできたはずだ」

「ピットレーンがブロックされていると知らされていたら、ピットインはしなかっただろうし、レースに勝っていただろう」

「『もしも』と『でも』を使うと、イタリア語では『どこにも行けない』と言うんだ。僕らはレースに負けた、それで終わりさ」

AFコルセの51号車をドライブして2024年スパ24時間に参戦したアレッサンドロ・ピエール・グイディ

 残り4時間を切ったところで、ピエール・グイディがアウトラップの7号車とダン・ハーパーのROWEレーシングの998号車BMW M4 GT3をパスしたことで、51号車フェラーリはトップに躍り出ていた。

「チームは、接近しているからプッシュしてアンダーカットを狙うようにと言ってきたんだ」とピエール・グイディは振り返った。

「なぜなら、通常スティントの終わりにはタイヤが劣化して、最初よりも遅くなるからだ。だからアウトラップと最初のコーナーで全力でプッシュした。ピット出口で追いつくには充分だった」

「僕はオー・ルージュから全速力で彼らに接近し、彼らはピットアウトしたばかりだったから、レースをリードすることができた」

「実際、オーバーテイクは非常に難しかったが、クリーンエアの状態ではペース管理が楽だったので、あそこで前に出られたことは良かった」

「もちろん、クリーンエアではいつでも有利だ。ペースは少しだけ速かったが、それはクリーンエアのときだけだった」

「追い越しが簡単だったかどうかは分からないが、こういったアンダーカットができたのは良かったね」

投稿 停止車両にスタックし勝利を失ったフェラーリ296 GT3「行き場はなかった」とピエール・グイディ/スパ24時間autosport web に最初に表示されました。

© 株式会社三栄