DEジョーンズの万能性を生かすつもりのシーホークスHCマクドナルド

シアトル・シーホークスのマイク・マクドナルド【NFL】

マイク・マクドナルドがヘッドコーチ(HC)としてシアトル・シーホークスに加入したことは、ディフェンシブエンド(DE)ドリーモント・ジョーンズのポテンシャルを最大限に引き出すことにつながるかもしれない。

ジョーンズは昨年に3年5,100万ドル(約82億0,595万円)の契約を結んだものの、シーホークスの一員として最初に臨んだシーズンに目を見張るような成績を収めることはできなかった。昨季のサック数(4.5回)はデンバー・ブロンコスでのルーキーシーズンを除くと過去最低の数字だったが、マクドナルドHCのスキームはディフェンシブラインの複数のポジションを担当できる万能な選手に恩恵をもたらす――その逆もまた然りだ――と見込まれている。

『ESPN』のブレイディ・ヘンダーソンによると、マクドナルドHCはミニキャンプを終えた際に「彼のスキルセットは、彼を使ってマッチアップを試みたり、他の選手をうまく活用したりするのに役立つと思う。彼はいろいろなことができる。それについて話してきたが、本当にドリーモントには期待している」と述べたという。

マクドナルドHCのスキームは、スナップ前に相手オフェンシブラインを混乱させるような様相を呈し、その混乱はボールがスナップされた後も続く。マクドナルドHCはボルティモア・レイブンズの守備コーディネーター(DC)として過ごした過去2シーズンに、いずれもチームをサック数でトップ5に導いており、2023年シーズンにはレイブンズがリーグトップの60.0回を記録するのを後押しした。

ジョーンズはシーホークスでの初年度に全17試合に出場し、タックル数(49回)とクオーターバック(QB)ヒット数(12回)でキャリアハイを更新。サック数こそ少なかったが、まずまずの内容だったと言えよう。しかし、昨季はプレーごとにインサイドとアウトサイドの両方でプレーできるジョーンズの才能が十分に引き出されていなかった。マクドナルドHCは2024年にその部分を変えようとしている。

昨シーズンの途中にトレードでシーホークスに加入したDEレナード・ウイリアムスも、マクドナルドHCがジョーンズと共に起用すると見られている万能選手の1人だ。ベテランのウイリアムスは今オフシーズンに複数のポジションで練習することで、準備を進めてきた。

「それは、ディフェンス選手を最適なポジションに置いて、オフェンスを混乱させるようなマッチアップを作る上で、自分たちのためになると思う」と語ったウイリアムスは、こう続けている。

「ドリーモントが5テクニックでプレーする様子を映像で見ていたとしても、実際の対戦では0テクニックとか3テクニックでプレーするかもしれないと考えることになるから、オフェンスにとって俺たちを研究するのは難しいはずだ。つまり、俺たちは動き回るから、オフェンスが特定の選手に対抗するスキームを組むのは難しいのさ」

昨季に試合平均被ヤード(371.4ヤード)で30位に沈んだシーホークスのディフェンスを改善することが、マクドナルドHCの就任1年目における最重要課題となるはずだが、これには多くの挑戦が伴うだろう。

ミドルラインバッカー(MLB)ボビー・ワグナーやラインバッカー(LB)ジョーディン・ブルックス、セーフティ(S)のジャマール・アダムスおよびクアンドレ・ディッグスが退団したオフシーズンを経て、今後のシーホークス守備陣の先発組はピート・キャロル元HCの伝説的な在任期間の終焉を反映するとみられている。シーホークスは、長年チームに在籍したベテラン選手たちを、優秀な若手ぞろいのセカンダリーと、4月のドラフトで1巡目指名したバイロン・マーフィ二世の加入によって強化された多才なディフェンシブラインで置き換える能力を持っている状態だ。

相手オフェンスをあざむき、混乱に陥れるマクドナルドHCの戦略において、ジョーンズが重要な役割を担うことが期待されている。

「複数の役割を担える選手がいたら、ランプレーで異なるギャップを担当させたり、パスプレーで異なるレベルからラッシュさせたりできるし、あとは大きな選手がいれば、選手の組み合わせや守備のバリエーションが広がる」と述べたマクドナルドHCは「全体的に見て、私たちとって良いことだ。春の成果やキャンプに向けたプランを見直すつもりだし、キャンプが進んでいけば、それを通してどう進化したかを見ていく。そういう姿勢を持つべきだと思う。他と同じようにやるだけでは、チームの成長に制限をかけることになると思う」と続けた。

【RA】

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