伊澤利光”親子”がプロ同士で初共演 今年3月にプロ宣言した長男・丈一郎「少しでも上位にいけるように」

ツアー外競技に出場する伊澤利光の長男、丈一郎

<MAIN STAGE JOYX OPEN 事前情報(1日競技)◇29日◇JOYXゴルフ倶楽部上月コース(兵庫県)◇7039ヤード・パー72>

2001年のマスターズで4位タイに入り、国内ツアー通算16勝で元賞金王の56歳・伊澤利光の長男、丈一郎が今年3月にプロ転向していた。国内男子ツアーがお休みの今週、ツアー外の1日競技でともにプロとして初共演することになった。

2002年生まれの長男、丈一郎は偉大な父の背中を追って中学1年から本格的にゴルフを始めた。ジュニア時代は目立ったタイトルはなかったが、2021年に大学進学をしてゴルフの腕を磨く。大学4年になる前の今年3月にアマチュア資格を放棄し、プロゴルファーの道を歩み始めた。今年は来季のツアー出場権をかけたQT突破を目指す。

プロ初戦は山口県で行われた2日間のツアー外競技で、プロ2戦目は6月の国内男子の下部にあたる、ABEMAツアー「ジャパンクリエイトIN福岡雷山」でツアー競技デビュー。父・利光も応援に駆け付けるなか2日間トータル27オーバーで予選落ち。

デビュー戦を振り返ると、「緊張しすぎてしまって…途中から頭が真っ白になりました」とツアー競技独特の雰囲気の飲まれる形で力を発揮できずに終わってしまった。

アマチュア時代にはプロ競技への出場経験はあるが、「アマチュアの時は感じなかったけど、プロになってお金がかかっているんだなと身に染みて感じています」と1打の重みをより感じるようになった。

ジュニア時代からゴルフ界のレジェンドが相談相手。スイングの細かい指導は受けていないというが、「基本が大事になる」とマネジメントの大切さを叩きこまれている。父は「キング・オブ・スイング」と称されるベストスインガーとして有名だが、「僕は似ているとは思わない」と丈一郎は父のその形が違うという。

ドライバーの平均飛距離は290~295ヤードで父や小田孔明をしのぐ飛距離が持ち味だが、「フェアウェイとラフから打つのとでは全然違う。飛距離はもう少しあった方がいいかなと思いますが、方向性が一番大事だなと思っています」とバランスを重視している。

そして、もっとも力を入れている1つがパッティングである。平均飛距離300ヤードの時代になり、父・利光は「昔よりパッティングの比重が大きいと思う」と話す。飛距離が伸びてグリーンを狙うショットの番手が短くなっているため、バーディチャンスの距離も近くなりやすい。「昔は6~7番で打っていたところ9番とかPWで打つケースが多い。そこの精度もよくないといけないけど、3~4メートルについたらそれを入れないとね。近くについても入らないといけない。その辺が大事だから」と説く。

父の言葉を受けるように丈一郎は、パッティングの練習量を増やしている。「1日2時間やることもあり、徐々によくなってきました。あとはライン読みとかも大切です」とスコアに直結するグリーン上の精度を1つの課題としている。

同年の今大会にはアマチュアとして出場して親子初共演を果たし「71」と「77」で父に軍配。昨年は9ホールの短縮競技となったが、ハーフ「35」でベストアマを獲得している。プロとして3試合目の試合は「60台では回りたい。シード選手とかすごい選手がたくさんいる中で、少しでも上位にいけると嬉しい」と、今後のキャリアにつながる経験の場と話す。

今大会は伊澤ら多くのプロゴルファーをマネジメントする「JOYX」が主催大会。ホストプロでもある父・利光は、第1回大会から出場している。「ここ数年1アンダーとかイーブンパーに甘んじています。今は調子がいいので私の中では1アンダーのイメージはない。ベスト10はいかないといけないかなという調子。ここは謙虚に3か4アンダー目指していきます」。まだまだ息子に負けるつもりはなく、大会の盛り上げ役になる。

全盛期の伊澤利光はアーノルド・パーマーが「キング・オブ・スイング」と称した美しいスイング。56歳でシニアが主戦場になっても今でもそれは健在だ。丈一郎は中学時代に大手芸能事務所にスカウトされるほどのイケメン。組は違うがレジェンドとキャリアを歩み始めた親子共演を見守りたい。

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