ル・マン、ニュル、スパで『3週連続24時間』の2025年。超・過酷日程は「1年限りの問題」

 SROモータースポーツグループの創設者兼CEO、ステファン・ラテルは、2025年の6月の過密スケジュールを「1年限りの問題」と表現し、3週連続で3回の24時間レースを開催する見通しについては「どうしようもない」と主張した。

 SROはスパ24時間レーススタート前日の6月28日、来年のIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジの5戦から成るカレンダーを発表。2025年のスパ24時間は、6月28〜29日に開催される予定となっている。

 同じくIGTCの一戦に数えられるニュルブルクリンク24時間レースの第53回大会はその前週の6月21〜22日に開催され、さらにWEC世界耐久選手権の一戦であるル・マン24時間レースは6月14〜15日の開催が予定されている。

 つまり、3つの主要な24時間レースすべてが3週末連続で開催されることになる。これは、多くのチームとマニュファクチャラーにとって、ロジスティクスおよび人員面で大きな課題となる。

 ル・マンは伝統的に6月中旬に開催されているが、来年のニュル24時間は6月19日が聖体祭のため、同じ月に開催される。この耐久レースは伝統的に、イベントを続行するために充分なマーシャルを確保するために、この祝日の前後に開催されている。

 一方、ラテルは、スパ24時間レースの日程については、来年7月25~27日に開催されるF1ベルギーグランプリに近いため、SROは手をこまねいていると示唆した。

「それは問題だ」とラテルは語った。

「しかし、私は再びニュルブルクリンクの友人たちと会ったが、私たちにできることは何もない。私たちにはこの日程がある」

「スパとF1の(日程的)距離はまったく同じだ。我々にはこの4週間があり、それが彼らに必要なのだ」

「(昨年はスパ24時間翌日の)月曜日と火曜日に、F1の準備が始まるため、パドックを急いで撤収するよう迫られた」

「我々にできることは何もない。もちろん、それを押し進めたかったが、それは不可能だった」

「我々のカレンダーは、非常に制約が多い。WECのカレンダー、そしてADAC(ドイツ自動車連盟)とDTMとともに、3つのカレンダーが衝突しないようにししている。これはマニュファクチャラーやドライバーにとって、これらの異なる選手権をマネージできるという大きなメリットとなっている」

「もし我々が(スパ24時間の日程を)移動していたら、(DTMの)ノリスリンクが衝突するだろう。ドミノ効果というものだ。伝統的なリズムを変えるのは非常に複雑だ」

「重要なのは、ニュルブルクリンク24時間が、今後4年間のカレンダーを発表していることだ。そして2026年、2027年、2028年は5月に開催されることが判明している」

「(したがって)これは1年間限りの問題だ」

「直接我々に関係があったかどうかは分からないが、(アメリカの放送局である)NBCにもそれがあったと聞いている。でも、IMSA(のワトキンス・グレン戦/6月22日予定)と重ならなくてとても嬉しい」

「(24時間レース3連戦は)理想的ではないことは分かっているが、なんとかできると思っている」

 ラテルはまた、今後スパ24時間レースの日程が変更される可能性は低いと示唆している。

「我々はすでに、従来伝統的であった7月末の日程から(スパ24時間を6月末に)変更している」と彼は言った。

「我々はこれを固定したいと思っているし、サーキットのマネジメントとはこのことに本当に同意しているのだ」

「完璧なリズムだ。(スパでは)5月にはWEC、6月にはスパ24時間、7月にはF1がある。3つの素晴らしいイベントが、3カ月美しく続く。それは正しい理由だ」

 このコンパクトなスケジュールによってメーカーがIGTCのどちらのラウンドでも関与を縮小せざるを得なくなることを心配しているかと尋ねられたラテル氏は、「卵を割らずにオムレツを作ることはできない」と答えた。

「そうなってほしくはないが、他に選択肢はない。9月に移動することはない」

「我々は、このイベントを作り上げているところだ。(今年のスパ24時間の)事前チケット販売は25%増加している。パレードを見れば、このイベントが成長していることが分かる。我々には、主な目標がある」

「私は『スパ24時間レースは世界最高の12時間レースだ』とよく言っていたが、それはつまり、土曜日の朝に全員が来て、パーティーの後に帰るということだ」

「我々の目標と努力は、4日間のイベントにすることだ。キャンプを大いに推進している。木曜の夜、金曜の夜に小さなコンサートを開催し、1日のイベントではなく4日間のイベントになる雰囲気を作りたい」

「それには時間がかかるし、時間をかけてイベントを作り上げたいなら、9月に移動するのは望ましくない」

「我々はそこ(6月末)に留まらなければならない。我々にとって、それは投資だ。北フランスやドイツでプロモーションを行ってきたし、今後も継続していく」

「昨年よりチケット販売数を2倍にするという、3年間の目標を設定した。昨年は4日間で8万人のファンが来場した。だが、そのほとんどは土曜日だった」

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