能登半島地震から半年 小室アナが見た被災地の現状…いまだ残るがれきの山 市長「復興は1割にも達していない」

元日に起きた能登半島地震から、7月1日でちょうど半年。

地震発生後に石川県輪島市を取材していた小室瑛莉子アナウンサーが、被災地に再び訪れて見たのは、約半年が経過しているにもかかわらず、地震直後と変わらない風景が残る“現実”でした。

死者299人、家屋の被害約12万5000棟と、甚大な被害をもたらした能登半島地震。

輪島市に向かう国道は半年前と比べ、土砂やがれきの多くは撤去され、亀裂を埋めた跡などがあります。当時、土砂で寸断されていた道路も、部分的ではあるものの復旧。半年間で多くの道路が整備されていました。

しかし、その一方で…。

小室瑛莉子アナウンサー:
右側からがけ崩れ、土砂が下りてきていて、センターラインがぐにゃりと曲がっていました。道路は舗装されていますけど、土砂はそのまま残っていて、それにあわせて道路が変えられていますね。

土砂の影響で大きく修正されたセンターラインや、国道のすぐ横には土砂崩れの跡が残っているところも。

地震が発生した元日の夜に、大規模な火災に見舞われ壊滅的な状態となった「輪島朝市」は、いまだに倒壊した建物のがれきなどは手つかずのままです。

小室アナ:
重機は入っているのですが、半年たった今でも、焼け焦げたがれきが残されたままです。立ち入り禁止のこのようなテープが貼られていますが、その先を見てみると、完全に上の部分やけ焦げてしまった車。その足元には手向けられた花束でしょうか?
震災から半年がたちますが、がれきは残ったまま。多くの人が手を合わせています。

地震によって倒壊した7階建てのビルにつぶされた家屋も、倒れた電柱と共にパイロンがおかれてそのまま残されています。

輪島市民:
本当に…どこまで燃えていくんだろうとか…、そこにいた人たちはすごく怖かっただろうなって思いますね。この状況なので、いつ解体が終わるのかってところですけど、また、新しい朝市を見られたらなと思います。

いまだに見つからない“弟”

地震によって大規模な土砂崩れが発生した、輪島市市ノ瀬町。土砂崩れによって、弟が安否不明となった垣地裕明さんは、現在、現場近くの避難所で生活していました。

行方不明の弟を探す 垣地裕明さん:
(弟が)この土の中にいるやろうということを考えると、見つかるまでは何も、僕的には何も変わるものはないんです。

警察などによる捜索活動は、二次災害の恐れがあるとして、3月に中断していましたが、安全が確認されたとして、4カ月ぶりに6月24日から再開されたといいます。

――当時と比べ現場は変わりましたか? 垣地裕明さん:
変わっていますね。まず土砂の量が全然違います。大きい土木関係もかなり整理されています。今警察が立っているあそこまで、どてーんと山のように、土砂が来ていましたから。(当時は弟が)いるのかもしれないですけども、まあもうどうかもわからなかったので、とりあえず弟の名前を叫びましたね。
捜索による進展っていうのは、はっきり言って…ないですね。

現在も、弟の英次さん含め3人が見つかっていません。

垣地裕明さん:
こちらへ来る道も当初に比べれば全然良くなっているし。その辺を思うと、少しずつ周りは変わってるのかなと思うんですけれども、うちの場合ね、やっぱり(弟の)発見やと思うんですけれども、その発見がない限りは、1月3日にここで叫んでた、あの心境と何も変わるとこはないですね。
でも、一生懸命本当にやっていただいて感謝はしております、本当に。もう近い将来、絶対見つかると確信はしております。

「漁に出られない」元通りになるめどたたず

能登半島地震は、港にも大きな被害をもたらしました。
現在、約150隻が停泊する石川県内最大の水揚げを誇る「輪島港」では、最大で2mほど海底が隆起して、漁業に深刻なダメージを与えました。

輪島市底曳組合 沖崎勝敏 組合長:
すぐ高台の方逃げたもんで、(船を)2日後ぐらいに見に来たんだけど、ずっとこのまま、水の引いた状態というか。ここらは一応浮かんでいたんですけど、もう本当ちょっと後ろ行ったら、全然浅いもんで、船の底が当たる感じになる。

沖崎組合長によると、海底隆起により停泊する約150隻の漁船は、震災以降、漁に出られない状況が続いているといいます。

――漁に出られない間、漁師さんたちは何を? 輪島市底曳組合 沖崎勝敏 組合長:
土木関係の方に行ったり、ごみの仕分け、家の解体の仕事に行ったり、そういう仕事をしていますね。

約300人の漁師が、漁業権などを理由に他の場所では漁ができないといいます。

輪島港では、船の出入りが再開できるよう、隆起した約2m分を掘削する工事が進められていますが、工事が終わっても、荷さばき場などの損傷が激しく、元通りになるめどは全くたっていません。

市長「復興への支援をどうか忘れないで」

地震から半年、今の復興状況はどうなっているのか、輪島市の坂口茂市長に話を聞きました。

――半年で輪島市は何%まで復興できていますか? 輪島市 坂口茂市長:
しっかりと復興してきたっていうことを言いたいところですけども、1割どころか本当に数%にもなってないんじゃないかなというふうに感じますね。1割は達してないですね。

輪島市 坂口茂市長:
インフラとか、ライフラインでも全て応急なんです。とりあえず(水を)通している、電気は通している。とりあえずは、道路が段差だけ修復したっていうんですけど、本格的に直すにはやっぱり時間がかかりますし、元に戻った状況が100%とすれば、今はまだ全然1割も、はるか届かない状況だというふうに思っています。

3月の記者会見では、「3年で日常を取り戻す」と話していた坂口市長ですが、復旧・復興の取り組みへの難しさを実感しているといいます。なかなか復興が進まない理由のひとつに、輪島市の地形があります。

輪島市 坂口茂市長:
能登半島の中で、輪島市は先端のあたりにいますので。幹線の道路が縦一本でありますので、そこが被災すると、なかなか救援にも入ってこられない。
発災からしばらくの間は、(金沢県から片道)10時間以上かかったですし、そういった状況でしたので、復旧工事とかいろんなものが進まないんですよね。

――漁業の復活については?
漁師さんにとってみたら、漁に出られないと全く生活が再建できないという部分もありますので、そこは急いで国の方に対応していただきながら、いま復旧を急いでいるとこです。

――半年たって一番必要な支援はなんでしょうか?
ぜひとも能登半島地震というのを風化されることなく、なんでも結構だと思うんですけども、復興への支援っていうのを、ぜひ忘れないで続けていただきたいというのが私からの願いです。これからですね、本当にこれからです。復旧も、本格的な復旧はこれからですね。
(「めざまし8」7月1日放送)

© FNNプライムオンライン