AI搭載スマートテールランプシステム「Survue」。背後から接近する自動車の種類や進行方向を検知

Image:Survue

レーダーによって自転車の背後から迫る自動車の存在を検知し、サイクリストに音声などで知らせるスマートテールランプシステムは、すでにガーミンやその他いくつかの企業が商品化している。

しかし、現在Kickstarterで支援を募っている「Survue」にはレーダーは搭載されていない。そのかわり、このスマートシステムは、後方から急速に近づいてくる自動車をカメラとAIアルゴリズムによって検出する。さらに接近速度、位置などを測定し、車両の種類や予想される進行方向まで判定することが可能だ。

Survueは、接近する車両が追突の危険性ありと判断した場合、そのテールランプに搭載されたスピーカーでアラームを鳴らし、サイクリストに知らせてくれる。さらにスマートフォンに専用アプリを導入していれば、相手に警告も行うことができる。なお、アプリでは背後に接近する車両の速度、位置、進行予測を画面に表示することも可能だ。

このデバイスにはさらに利点がある。それは後方録画機能だ。もしも接触事故などのトラブルが発生し、法的手続きで映像が必要になった場合に備えて、付属のmicroSDカードにカメラで捉えた車両の映像を自動的に記録できるのだ。もちろん、高速で赤い光を点滅させることで運転者に自転車の存在を知らせるテールランプの機能も備える。

約7年前、メイン州を拠点とする起業家ジョシュ・フォックス氏は、当時まだ幼かった子供を自転車用トレーラーに乗せて運んでいたという。その一方で、高校のロボット工学チーム指導の一環で、目標物までの距離を推定するためのコンピュータービジョン技術についての研究もしており、このAI技術を自転車のテールランプに搭載し、危険な車の接近を知らせることを思いついた。

Survueは質量125gで、バッテリーは1度の充電で約6時間の動作が可能だ。最大で110m離れた場所から車両を検知できると説明されている。Kickstarterでは215ドル(約3.5万円)の支援枠購入から、リワードとしてSurvueを入手することが可能だ。もし、通常の商品として発売された場合は小売価格329ドル(約5.3万円)を予定しているため、2万円近く安価だということだ。

クライドファンディングは基本的に、プロジェクトがアイデアを製品化するための資金調達を実現するためのサービスであり、プロジェクトの状況に応じて必ずしもリワード入手できるとは限らないリスクがある。そのようなサービスの特性を考慮し、納得できるならば、プロジェクトを支援して製品の完成を待つのも良いだろう。なお、Survueは記事執筆時点であと24日プロジェクト期間を残しているが、すでに目標とする合計出資額の2倍のお金を集める成功プロジェクトとなっている。

ちなみにSurvueと同様に、AIを自転車用テールランプに搭載しようと考えた別の企業であるVelo.AIは、より大きなデュアルライト式の「Copilot」を399ドル(約6.5万円)ですでに発売している。こちらはまるで、往年のスーパーカー自転車のライトを後ろ向きに取り付けたかのようだが、Survueと同様にビデオ録画やAI予測分析機能などを備えている。ただし、記事執筆時点では在庫切れだ。

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