なでしこジャパンが戦うGS注目の若手選手7選【2024パリ五輪】

写真:Getty Images

いよいよ7月26日、2024パリオリンピックが開幕する。約1年前、サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)はFIFA女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア&ニュージーランド大会で準々決勝まで上り詰めるも、スウェーデン代表に1-2と敗れ、2011年ドイツ大会以来の優勝を逃してしまう。この悔しさを胸に、バックアップメンバーを含む22人のなでしこたちがフランスの地で世界一を目指す。

なでしこジャパンはグループステージ(総当たり戦)で、スペイン、ブラジル、ナイジェリアと同じ「グループC」に入っている。初戦となるスペインは言わずと知れた2023女子W杯の優勝国だが、その際のグループステージでは4-0で日本が勝っており、今大会での勝敗に注目が集まる。そんななか、もうひとつの楽しみが各国から出場する20歳以下の若い選手(U-20)の活躍だ。

現時点(2024年6月30日)で、日本以外(スペイン、ブラジル、ナイジェリア)の出場選手は公式発表前だが、この記事では「グループC」の4カ国について、パリ五輪出場および出場が予想される注目の若手選手7名を紹介していく(スペイン代表は暫定メンバー公表済み)

※記事内の年齢はパリオリンピック開催時


サルマ・パラジュエロ 写真:Getty Images

スペイン女子代表

MFヴィッキー・ロペス(18歳)

  • 生年月日:2006年7月26日
  • 現所属クラブ:FCバルセロナ・フェメニ(スペイン1部)
  • 主な代表歴:FIFA U-17女子W杯2022インド大会(10月11日-30日)、2022UEFA U-17女子選手権(5月3日-15日)、2023UEFA U-17女子選手権(5月14日-26日)、2023/24UEFA女子ネーションズリーグ(2023年9月22日-12月5日・2024年2月23日-28日)

FWサルマ・パラジュエロ(20歳)

  • 生年月日:2003年11月13日
  • 現所属クラブ:FCバルセロナ・フェメニ(スペイン1部)
  • 主な代表歴:2018UEFA U-17女子選手権(5月9日-21日)、FIFA U-17女子W杯2018ウルグアイ大会(11月13日-12月1日)、FIFA U-20女子W杯2020コスタリカ大会(2021年1月20日-2月6日)、FIFA女子W杯2023オーストラリア&ニュージーランド大会(7月20日-8月20日)

いずれも華々しい代表歴があるこの2選手は、個々の卓越したスピードとスタミナ、技術の高さが今後のスペイン代表を牽引する存在として国内外から注目されている。特にパラジュエロのドリブルとスプリント力は対戦相手の脅威となる実力。2023年の女子W杯後にFIFAが公開したPlayer stats(選手のプレー統計)では、彼女のスピードとドリブルの質が全出場国の選手の中で最も優れていることが示された。

元々陸上競技の選手としても活躍していたパラジュエロは、2019年のヨーロッパユースオリンピックフェスティバルに陸上競技選手として出場。400mハードルとメドレーリレーで金メダルを獲得している。陸上競技のスキルをサッカーに活かしている期待の凄技選手だ!


ドゥディーニャ 写真:Getty Images

ブラジル女子代表

MFジ・フェルナンデス(19歳)

  • 生年月日:2004年12月23日
  • 現所属クラブ:SCコリンチャンス・パウリスタ女子(ブラジル1部)
  • 主な代表歴:2022南米U-20女子サッカー選手権(4月6日-24日)、2024南米U-20女子サッカー選手権(4月11日-5月5日)

FWドゥディーニャ(19歳)

  • 生年月日:2005年7月4日
  • 現所属クラブ:サンパウロFC女子(ブラジル1部パウリスタ女子サッカー選手権)
  • 主な代表歴:FIFA U-20女子W杯2022コスタリカ大会(8月10日-28日)、FIFA U-17女子W杯2022インド大会(10月11日-30日)、2022年南米U-17女子選手権(3月1日-19日)

FWドゥディーニャとMFフェルナンデスは、いずれも近年に代表招集されているブラジル期待の星だ。フェルナンデスは2022年の南米U-20女子サッカー選手権で代表初デビューを飾り、ボリビア戦の前半18分で初ゴールを決めた。その後、エクアドル戦でも1得点を挙げ、初招集とは思えない貫禄のプレーを見せつけた。

一方のドゥディーニャは、確かな実力で勝利の女神を引き寄せる選手。2021年に現所属クラブであるサンパウロFC女子のユースとして、パウリスタU-17、ナイキ・プレミアカップU-17、ブラジルU-18の3大会でタイトル獲得を経験。なかでも、ナイキ・プレミアカップでは、最も多くの時間ピッチに立った選手として最優秀選手賞を受賞した。2022年にはU-17、U-20W杯のブラジル代表としてベスト4進出を経験。また、同年3月の南米U-17女子選手権では並み居るベテラン選手のなかで大会期間中5ゴールを挙げ、得点王ランキングのトップ3に名を刻んだ。

デボラ・アビオドゥン 写真:Getty Images

ナイジェリア女子代表

MFデボラ・アビオドゥン(20歳)

  • 生年月日:2003年11月2日
  • 現所属クラブ:リバーズ・エンジェルス(ナイジェリア1部)
  • 主な代表歴:国際親善試合(2022年10月6日)対日本戦、FIFA U-20女子W杯2022コスタリカ大会(8月10日-28日)、FIFA女子W杯2023オーストラリア&ニュージーランド大会(7月20日-8月20日)

昨年夏のW杯で最も観客を沸かせたとも言えるナイジェリア女子代表チーム。カナダ、アイルランド、オーストラリアと強豪国を含むグループステージを見事2位で突破し、トーナメント戦では同大会で準優勝となったイングランドを相手に0-0の同点からPK戦に持ち込んだ。その結果2-4で敗れてしまったが、ベスト16の結果を残した。

W杯の招集メンバーにはMFデボラ・アビオドゥンの名前もあり、グループステージのカナダ戦で初出場を果たした。試合中にレッドカードを受け取る場面もあったが、その後も19歳とは思えないほど冷静なパフォーマンスで緻密なプレーを貫き、チーム全体をまとめるような雰囲気を生み出していた。試合結果は0-0の引き分けとなったが、将来のナイジェリアを牽引する存在としてアビオドゥンが世界にその名を広めた試合であったと言える。


谷川萌々子 写真:Getty Images

日本女子代表

DF古賀塔子(18歳)

  • 生年月日:2006年1月6日
  • 現所属クラブ:フェイエノールト・ロッテルダム女子(オランダ1部)
  • 主な代表歴:下記参照

MF谷川萌々子(19歳)

  • 生年月日:2005年5月7日
  • 現所属クラブ:ローゼンゴード(スウェーデン1部)
  • 主な代表歴(2選手共通):MS&ADカップ2023(7月14日)対パナマ戦、国際親善試合(2023年11月30日・12月3日)対ブラジル戦、パリオリンピック2024年女子サッカーアジア最終予選(2月24日・28日)対 朝鮮民主主義人民共和国戦、2024SheBelieves Cup(4月6日・9日)、対アメリカ戦・ブラジル戦、国際親善試合(2024年5月31日・6月3日)対ニュージーランド戦

※参照元:JFA(日本サッカー協会)

DF古賀塔子とMF谷川萌々子は同じ学年同士で共にJFAアカデミー福島の出身でもある。現在はそれぞれ海外のクラブで活躍しており、将来のなでしこジャパンを率いるであろう重要な立ち位置の選手たちだ。

高さと安定感のあるディフェンスが特徴の古賀は、弱冠18歳にして既に代表出場数は8回に上り(2024年6月時点)、今年5月31日に行われた国際親善試合ではニュージーランド相手に代表初得点も挙げた。現所属クラブであるフェイエノールト・ロッテルダム女子は古賀について「日本で最も才能のある選手の1人」と称賛の声をあげている。オランダで積んだ経験が、今後なでしこの強力な武器となる日は近いかもしれない。

一方の谷川は、持ち前の攻撃センスと得点率の高さが魅力の選手。その才能が特に発揮されていたのが、2023年9月19日~10月7日に開催された第19回アジア競技大会(2022/杭州)だ。谷川は日本の初戦となったグループステージ(グループD)のバングラデシュ戦で、開始8分後のPKを決め2点目をマークすると、その溢れるパワーは留まることなく後半80分にも2度目のゴールを決め、グループステージ通過に貢献した(8-0)。また、後の準々決勝(フィリピン戦)でも前半39分にチーム最初のゴールを決め大勝の起爆剤となった(8-1)。さらに準決勝(中国戦4-3)や決勝(朝鮮民主主義人民共和国戦4-1)でも1得点ずつ獲得し、チームを優勝へと導いた。谷川のこの才能は、パリ五輪を通じて一層世界から注目されることだろう!

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