運送業に就くなら「大型免許持ち」の方が年収面で有利ですか?高卒で働きたいのですが、免許取得に悩んでいます…。

大型免許持ちは年収が高い傾向にある

厚生労働省の発表によると、令和3年度における大型トラック運転者の年間収入は約463万円でした。これは大型トラックドライバーの全労働者の平均を取ったものであるため、入社直後や勤続年数が短い場合はもっと低いことが予想されます。収入は所属企業の規模・勤続年数・経験・運転スキルによって異なるため、あくまで目安と捉えておきましょう。

なお、全産業の平均年収は489万円といわれています。大型トラックドライバーの平均年収は総合平均よりも若干低いですが、近い賃金をもらえていることが分かります。

中型免許取得者と比較

大型トラック運転者の年間収入が約463万円なのに対し、中型トラックドライバーの年間収入は431万円という結果がでています。中型と大型の免許の違いでおよそ30万円も差が生じているため、大型トラックドライバーを目指した方が収入面では有利といえるでしょう。

また、同資料をもとにトラック運転者の年間労働時間を比較すると、大型トラック運転者が2544時間なのに対し、中・小型トラック運転手の労働時間は2484時間とさほど差はありません。以上の通り、大型免許を保有すると収入アップにつながるものの、勤務時間では中型免許とそれほど差がないことが分かります。

会社によっては資格手当や乗務手当の支給がある

大型運転免許や中型運転免許といった運送業に必要な資格を取得していると、会社によっては資格手当や業務手当が支給されます。金額は企業によって異なりますが、資格を持っているだけで毎月の給与にプラスされるため、取っておいて損はないでしょう。

大型免許を取得する条件

警視庁「大型免許試験(直接試験場で受験される方)」によると、大型運転免許を取得するには、3年以上の運転経験と年齢が21歳以上でなければならないようです。今回のケースは高校卒業直後に大型免許の取得を目指すとのことですが、卒業後、最低でも3年以上は実務経験を積む必要があるといえるでしょう。

また、資格を取得するには普通自動車免許のときと同様に、試験の合格が必須です。取得にはある程度まとまったお金が必要なため、最初の3年間の実務経験中に費用を貯めておくことをおすすめします。

大型免許の取得にかかる費用

ここからは大型免許の取得にかかる費用を紹介します。大型免許の取得には教習所に通う方法と、適性検査・学科試験・路上演習・本試験を受ける「一発試験」の方法があり、それぞれ費用が大きく異なります。なお、一発試験は比較的合格率が低いため、確実に免許を取得するなら教習所がいいとされているようです。

教習所に通う費用

大型免許の取得に教習所を利用する際、総費用は保有している自動車免許の種類によって変わります。

普通自動車免許を持っている場合はおよそ30~45万円程度といわれています。中型免許を既に保有している場合には20~25万円程度で済むようです。また運転免許試験場での受験費用として、受験料と免許証交付料も別途必要でしょう。

なお上記はあくまで相場であるため、通う教習所によって料金が異なる点にご注意ください。

一発試験を受ける費用

一発試験を受けて大型免許を取得する場合、仮免許試験と本試験の2種類の受験費用と、合格後の取得時講習費用の3種がかかります。それぞれの費用は表1の通りです。

表1

※神奈川県警察「大型・中型免許(運転免許センターで直接受験)の手続について」、警視庁「大型免許試験(直接試験場で受験される方)」を基に筆者作成

上記の費用をすべて含めると3万6150円です。ただしこれは一回で試験を突破した場合の費用であるため、仮免許または本試験に落ちた場合は次回もそれぞれの受験料などを支払う必要があるでしょう。なお、こちらの費用もお住まい地域によって異なる可能性があるため、あくまで目安として参考にしてください。

大型免許の取得は年収があがる

大型免許は取得するだけでも収入があがる可能性があり、年収アップにつながります。転職や業務の幅が広がるため、これから運送業で働く方は早めに取得するといいでしょう。

出典

厚生労働省 自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト 統計からみる運転者の仕事
警視庁 大型免許試験(直接試験場で受験される方)
神奈川県警 大型・中型免許(運転免許センターで直接受験)の手続について

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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