【七夕賞/血統展望】夏の福島2000m戦で“信頼度抜群”の血 「どう考えても2000mの馬」に重賞V期待

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今週末は、第60回七夕賞(GIII、福島芝2000m)が行われる。

前走新潟大賞典2着から臨むキングカメハメハ産駒キングズパレス、10戦連続馬券内と抜群の安定感を誇るディープインパクト産駒レッドラディエンス、当舞台2戦2勝のキングヘイロー産駒リフレーミングなど、多彩な血統構成の馬が集結。

ここでは、馬券検討のヒントとなる「血統」で本競走を攻略する。

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■父キングカメハメハ系が主軸のレース

13年に開幕2週目の日曜メインに実施時期が移動して以降、父キングカメハメハ系が【1.4.3.17】で複勝率32.0%をマーク。同期間での父サンデーサイレンス系が【7.6.2.65】、複勝率18.8%なので、狙いやすいのは父キンカメ系の方。

特に「父キンカメ系×母父ディープインパクト」という組み合わせは【1.3.1.1】で連対率66.7%、複勝率83.3%という驚きの数字を記録している。

その一方で、「父キンカメ系以外×母父ディープインパクト」という馬の成績はヒンドゥタイムズしか該当がないとはいえ、【0.0.0.2】とイマイチな成績に留まる。母父ディープなら何でも走るというわけではなく、キンカメ系との組み合わせに何か秘密があるのでは? と考えたい。

今回注目したのがキンカメが持つトムフールの血。この血はディープの母父に入るアッティカという血と非常に似通った構成をしている(※ファラモンド、アルシバイアディーズ、ブルドッグ=サーギャラハッドが共通)。

キンカメの血統構成を見たときに「最も小回り向きの器用さを伝える血」がどれかという話になると、それはやはりトムフール。この血をうまく刺激するのが小回り福島向きの適性を向上させることに繋がる。

「父キンカメ系×アッティカを持つ母」という組み合わせの馬は七夕賞で【1.4.1.2】で複勝率75.0%という成績。先述の母父ディープインパクト一門の他にロザムールも好走している。父キンカメ系からはこのパターンに該当する馬を狙いたい。

■七夕賞向きの血統背景持つキングズパレス

今回注目したいのは、キングカメハメハ産駒。該当馬のなかからキングズパレスをピックアップする。

父はキングカメハメハ、母ドバウィハイツはアメリカで芝中距離のGIを2勝。半姉リバティハイツはフィリーズレビューの勝ち馬という血統背景。

条件戦で勝ち切れない成績を続けていたものの、これは単純に使う距離を間違えていた印象だ。

プリンシパルSでセイウンハーデスの半馬身差2着の成績があるように、この馬のベストディスタンスは2000m。ただ条件戦ではなぜかずっと2200m以上の距離にこだわって使われてきた。

キンカメ産駒で母父はマイラーのドバウィ、母も1800~2000mのG1馬で、半姉は1400mG2勝ち馬。長距離感のある血統ではなく、長い距離で最後に伸び切れずの敗戦を繰り返していたのは距離の壁に泣いていたとしか思えない。

反対に2000mでは先に挙げたプリンシパルS2着の他に、2勝クラス突破を決めた鹿野山特別、3勝クラス突破を決めた美浦S、パラレルヴィジョンやリフレーミング、レッドバリエンテといった後のOP好走馬に先着した府中Sなど好内容のレースばかりで、通算成績も【2.4.0.0】で連対率100%。血統からも戦績からもどう考えても2000mの馬だと思う次第だ。

キンカメにサーアイヴァーを入れてトムフール≒アッティカの形を取った点も七夕賞における父キンカメ系の傾向を考えるとプラスになるだろう。

前走は広い新潟外回りで好走したが、内回りにも対応できる配合でここでも十分に通用すると見る。2000mを使ってくれる以上、重い印を打ちたい存在だ。

あとは枠と週末の馬場コンディションを見つつ、最終結論に至りたい。

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著者プロフィール

ドクトル井上
【重賞深掘りプロジェクト】血統サイエンティスト。在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。

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