能登半島地震から半年 青井キャスターが見た輪島朝市に起きていた変化は…30年以上露店を営んできた女性は今何を語る

能登半島地震の発生から1日で半年となった。

元日の石川・輪島市の輪島朝市を襲った大規模火災で、約240棟の建物が焼失した。
この輪島朝市に新たな動きもあった。
「イット!」青井実キャスターが取材した大火災現場で起きていた変化とは。

「公費解体」が輪島朝市通りでも始まる

「工事関係者以外立入禁止」という看板は最近設置されたということだが、解体を始めるために重機を入れたため、立ち入り禁止の看板が立てられたという。

少しずつだが、前に進んでいるというのがこの看板からも分かる。

被災した建物を行政が取り壊す「公費解体」が朝市通りでも6月からようやく始まった。

そして1日、元日に襲った地震が発生した午後4時10分に、被災地では犠牲者を悼み、黙とうがささげられた。

輪島朝市で30年以上露店を営んできた女性を取材

1日取材した南谷良枝さんは、ここの朝市で30年以上露店を営んできた。

青井 実キャスター: ーーこのあたりでテントを張っていた? 南谷良枝さん:
そうです。ここに張っていて、テントが飛ばないように。フックにひもを(引っかけて)。
ーーずらーっとここにテントが並んでいたわけですね? 南谷さん:
そうですね。

2年前の朝市での良枝さんの姿。

南谷さん(2022年5月):
お父さん、沖漬けの方、そのまま食べられるよ。

テントには自家製の干物などがずらりと並び、娘の美有さんと2人で店を切り盛りしていた。

ところが…。

南谷さん:
えっ、ここだよね。

被災直後、朝市を初めて訪れた際には、あまりに変わり果てた姿に言葉を失っていた。

半年がたっても復興が進まない朝市の現状。
しかし良枝さんは各地で開催される出張朝市に出店するなど、 復活に向け動き始めていた。

南谷さん:
出張輪島朝市に行きながら、これから加工場再建に向けて、少しずつやけど、前に進めたらな。

良枝さんに海産物の加工場を案内してもらうと、被災直後は加工品や調理器具などが散乱していたが、片づけが進み、今はきれいに。

しかし水道が通ったのは、1カ月ほど前のこと。

敷地内は地盤沈下するなど、被災の爪痕が残る中で新たな悩みが浮上していた。

「売っていくものはもうないです」加工場の移転も検討

青井キャスター: ーー売っていくものはまだある?

南谷さん:
売っていくものはもうないです。

ーー新しいものを作りたいのに作れない。どこで作るかという状況? 南谷さん:
そうですね。

被災後、商品が生産できず、在庫切れの危機に。
新たな加工場を作るために、生まれ育った輪島を離れることも考えているという。

南谷さん:
あの大きな土地を直すのはもう無理なので、ここを解体して次のところに行くのも考え始めています。

そこには被災後、跡を継ぐことを決意してくれた娘の美有さんへの母心もあった。

南谷さん:
娘が跡を継ぐって決めてくれているので、その彼女にそういう怖い思いをさせたくないっていうのがあります。

南谷さんは今、金沢市内のみなし仮設住宅に住んでいて、平日を使ってこの輪島に片づけに来ているという。

南谷さんは30年以上輪島に住んでいるので、もちろんこの街が好きだと。
ただ地盤沈下の関係もあるので暮らすところがない。どうするか、そのはざまに今いるというふうに語っていた。

宮司愛海 キャスター: ーーそういった相反する複雑な気持ちを抱えていらっしゃる方も多い中で、街全体の雰囲気というのは今どうなっているんでしょうか?

ここにいる方、そしてここから離れている方もいますので、いろんな状況があると思われる。
ただ中には、「この景色が言い方は変ですけど慣れてしまった」と言う方もいた。
6月から始まったその公費解体もあるが、動きを欲しているんだなというのを強く感じた。

また新しい動きもあり、今まで朝市は出張朝市だったが、来週10日、輪島市で一部復活するという。
これまでは違うところで朝市を出店していたが、輪島市でオレンジ色のテントを出してやるという情報が入ってきている。
(「イット!」7月1日放送より)

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