「若いうちはお金を貯めるより経験を積め!」と育てられた20代独身の私。”貯金ゼロ”で趣味や旅行を楽しんでいますが問題ないでしょうか?

20代独身の平均貯蓄額はどれくらい?

金融広報中央委員会「知るぽると」の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」によると、20歳代単身世帯の平均貯蓄額は121万円、中央値は9万円でした。貯蓄額別の割合をまとめると、以下の通りです。

__●貯蓄なし:43\.9%
●100万円未満:23.0%
●100~200万円未満:10.9%
●200~300万円未満:5.3%
●300~400万円未満:4.9%
●400~500万円未満:2.6%
●500万円以上:7.8%
●無回答:1.6%__

同調査で最も多かった回答は、貯蓄なしの43.9%でした。貯蓄があると回答した人でも、貯蓄額については100万円未満の23.0%が最も多く、100~200万円未満がそれに次ぐ10.9%です。20代独身では半数近くが貯蓄ゼロで、あったとしても100万円未満が多いことが分かります。

今後まとまった費用が必要になると想定されるライフイベント

20代独身にとって、今後まとまった費用が必要になると想定される、以下のようなライフイベントがあります。その際に、20代のうちからの貯金が役立つでしょう。

・結婚費用

株式会社リクルートの「ゼクシィ結婚トレンド調査2023」によると、結納・婚約~新婚旅行までにかかった費用は全国平均で総額415万7000円であるとのことです(ゼクシィ 結婚トレンド調査2023調べ)。同調査によると、披露宴・ウエディングパーティーのご祝儀額が平均197万8000円ですから、217万9000円を自分たちで用意する必要があります。結婚費用には個人差がありますが、自身が希望するスタイルを考えつつ、費用シミュレーションをしておくことは大切です。

・マイホームの購入費用

住宅金融支援機構の「2022年度フラット35利用者調査」によると、マイホームの所要資金は全体的に上昇しているとのことです。例えばマンションは4848万円、建売住宅は3719万円の資金が必要です。中古マンションでも3157万円、中古戸建では2704万円かかります。マイホームの購入では住宅ローンを利用することが一般的ですが、借入金額が多ければ月々の返済が負担になるため、貯金があると助かります。

・老後資金

総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における家計収支は、毎月3万7916円の不足分があるとのことです。単身世帯でも不足分は毎月3万768円で、老後はこの不足分を貯金から取り崩さなければならないことが考えられます。これはあくまでも平均的な数値で、年金収入の額や生活費は各家庭で異なりますから、老後に必要な資金の目安をシミュレーションしてみることは大切です。

経験を積むことは大事! 同時に将来の出費も想定して貯蓄や資産形成にも目を向けよう

20代独身の平均貯蓄額は121万円、中央値は9万円で、貯蓄ゼロの割合は43.9%であることが分かりました。貯蓄があったとしても100万円未満が23.0%で、若いうちは経験を優先して、貯金がなかなかできない人もいることが推測されます。

親や周りの人から「若いうちはお金を貯めるより経験を積め!」といわれることがあるかもしれませんが、結婚・マイホーム購入・老後生活など、今後まとまった費用が必要になるライフイベントについても考える必要があります。収入のすべてを趣味や旅行などで使い切るのではなく、少しずつでも貯蓄や資産形成に目を向けて、「経験」と「貯蓄」のバランスを保つことも大切であるといえるでしょう。

出典

金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
株式会社リクルート ゼクシィ首都圏 ゼクシィ結婚トレンド調査2023 結婚費用 3)結婚費用の総額 ゼクシィ 結婚トレンド調査2023調べ(39ページ)
住宅金融支援機構 2022年度フラット35利用者調査 I調査結果の概要 5 所要資金(融資区分別)の推移(2012~2022年度)(10ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)(18ページ)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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