「年収700万円」の夫が52歳で亡くなりました。妻の私は「遺族年金とパート代」で暮らしていけるでしょうか…?

年収700万円の方が亡くなったときのおおまかな遺族年金を算出

遺族年金は、国民年金から支給される「遺族基礎年金」と、厚生年金から支給される「遺族厚生年金」の2つが存在します。それぞれ受給要件や金額が異なるため、自身が要件を満たしているか確認しましょう。

遺族基礎年金とは

日本年金機構によると、遺族基礎年金の額は、昭和31年4月2日以後生まれの方の場合年間81万6000円、昭和31年4月1日以前生まれの方の場合年間81万3700円です。

今回のケースであれば受け取るのは配偶者で、「18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方」がいる場合は、人数に合わせて年金額が加算されます。もらえる額は2人目までは1人につき23万4800円、3人目以降は7万8300円が支給されます。

なお、遺族基礎年金がもらえるのは子どものいる配偶者か、子ども自身です。また、家族構成が夫婦のみの場合、遺族基礎年金は支払われないため、注意が必要です。

遺族厚生年金とは

遺族厚生年金でもらえる金額は、亡くなった当人が加入していた厚生年金の報酬比例部分のうち、およそ3/4です。遺族厚生年金の年額は、以下の計算式で求められます。

・「平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入月」+「平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数」×3/4

上記の平均標準報酬月額とは、社会保険料の負担額を算出するための基準値のことです。今回のケースは亡くなった夫の年収が700万円、年齢が52歳ということであるため、標準月額報酬は年収を12ヶ月で割った約58万円、社会保険の加入期間は新卒入社を想定して30年間とします。

以上を考慮すると、計算式は以下の通りです。

・「58万円×7.125/1000×108ヶ月」+「58万円×5.481/1000×252ヶ月」×3/4=約93万5559円

上記の条件では、年間約93万5559円との結果がでました。実際の計算では亡くなった月や報酬月額の細かな違いが生じるため、あくまで参考である点にご注意ください。

遺族厚生年金の受給条件は、子どものいる配偶者と子どものほか、子どものいない配偶者・父母・孫・祖父母も対象に含まれます。優先度はお子様と配偶者のほうが高いため、今回のケースでは配偶者に支給されるでしょう。

前述したように、遺族厚生年金は子どものいない配偶者にも支給されますが、年齢による条件がある点に注意が必要です。例えば配偶者が子どものいない妻の場合、年齢が30歳未満であれば支給されますが、支給期間は5年間に限られます。また、子どもは、遺族基礎年金と同様に18歳になった年度の3月31日まで支給されます。

お子様がいない家庭なら中高齢寡婦加算が適用される

家族構成が夫婦のみ、または18歳を超えた子どもがいる家庭は、遺族基礎年金を受け取れません。およそ80万円近い支給がなくなるため、生活に支障をきたす可能性があります。しかし、遺族厚生年金を受け取る場合には、一定条件を満たすことで年間61万2000円の中高齢寡婦加算が適用されます。

中高齢寡婦加算の条件は、パートナーが亡くなったときに配偶者が40歳以上65歳未満かつ生計をともにする子どもがいないこと、子どもが18歳を超えたことによって遺族基礎年金の支給要件を満たさなくなったときのいずれかです。

年収700万円だったなら遺族厚生年金とパート代で暮らしていける可能性がある

今回のケースは、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方をもらえる場合には年間およそ175万円、子どもがおらず遺族厚生年金と中高齢寡婦加算の場合はおよそ154万円もらえます。

仮にパートで毎月10万円の給与があるなら、年間の合計収入は274万円〜295万円です。公益財団法人生命保険文化センターの資料によると、単身世帯の平均支出は、約16万8000円でした。今回の年収を1ヶ月に換算すると約22万8000円~24万5000円なので、保険料や税金が引かれることを考慮しても贅沢をしなければ暮らせる収入といえるでしょう。

ただし、遺族年金基金しかもらえない場合、生活は苦しくなりそうなので、パートを増やすなどの工夫をする必要がでてくるでしょう。

出典

日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
公益財団法人生命保険文化センター 世帯の人数、共働き世帯かによって家計の状況はどう違う?

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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