いじめを受けていた旭川市の女子中学生が3年前に自殺した問題で、再調査委委員会は、いじめと自殺の因果関係を初めて認めました。
中学2年生だった広瀬爽彩さん。3年前の3月、凍死した状態で見つかりました。
背景にはいじめが疑われ、旭川市教育委員会が設置した第三者委員会が調査を行いましたが…。
第三者委員会(当時)辻本純成委員長)
「亡くなる直前の話が分かっていない。結論として(いじめと自殺の因果関係は)不明と言わざるを得ない」
第三者委員会が出した結論は、いじめと自殺との因果関係は「不明」というものでした。
遺族側はこれを不服として、異議を申し立て再調査を求めました。市は教育評論家の尾木直樹さんを委員長とする、再調査委員会を設置し改めて調査することとなりました。
生前、爽彩さんはインターネットの配信者にいじめを相談していて、その音声が残っていました。
爽彩さんの肉声)
「いじめを受けていたんですけど、そのいじめの内容が結構きつくて…」
ネットで壮絶ないじめを告白していた爽彩さん。
爽彩さんは、2019年に中学校に入学しました。その2ヵ月後、先輩や同級生10人以上の前で川に飛び込み自殺を図りました。
遺族が爽彩さんのスマホを確認すると、わいせつな行為を強要される動画などが、SNSで拡散されていたことが発覚しました。
爽彩さんが失踪する直前、ネット上の友人に送ったメッセージには…。
「決めた。きょう死のうと思う」
このおよそ1ヵ月後、自宅からおよそ2キロ離れた公園で雪の下から爽彩さんは凍死した状態で見つかったのです。
再調査委員会はいじめと自殺との因果関係を明らかにするため、爽彩さんのSNSに残したおよそ4000行にわたる投稿をAIも活用して分析したといいます。
再調査委員会尾木直樹委員長)
「データ処理をして、そしてそれもまた丁寧に人間的な視点で捉え直したり。いじめのトラウマとかフラッシュバックとかいろんなものが影響して、ずっと尾を引いてこんなに長期間にわたって彼女を苦しめていたんだということがつぶさに分かるんです」
今回、全てが明らかになったわけではありません。
本来は380ページもの報告書が市に提出される予定でしたが、公表されたのは、概要と報告書の冒頭部分のみ。
先週、前回の第三者委員会の黒塗りなしの報告書とみられる文書が流出する問題が起き、市の情報管理が問われる事態となったためです。
再調査委員会は、市に対して漏洩に対する保護措置を取るよう求めていて、年内にも完全な報告書を答申したいとしています。
再調査委員会尾木直樹委員長)
「いじめ防止の教育だけではなくて、SNSの問題もそうだし、それから性教育ですね。
ここに切り込まない限り僕は(いじめを)根絶できないなと。」