来島海峡西側で新航行ルール運用開始 衝突事故再発防止へ

 愛媛県今治市沖の来島海峡航路西側海域で1日、船舶の新たな航行ルールの運用が始まった。来島海峡海上交通センター(今治市)によると、西側出入り口から西1カイリ(約1.8キロ)区間を横切ってはならない経路に指定。船の変針・交差が集中する状況の緩和が期待されるとしている。

 同航路で初めて船舶自動識別システム(AIS)のバーチャル航路標識を導入し、指定経路の東・西端を航海用レーダーや電子海図上に表示する。梶取ノ鼻(同市波方町宮崎)約2キロ沖の4号灯浮標は廃止した。

 同航路は潮の南流時、国際ルールとは逆の左側航行になる航法が世界で唯一定められている。新たな経路の指定により、南から航路に向かう船が早めに左側航行に移動でき、互いの操船意図を把握しやすくする狙いがある。

 西側海域を巡っては、2021年5月、大型貨物船とケミカル船が衝突して3人が死亡。23年2月には貨物船同士が衝突して1人が死亡、1人が行方不明になった。再発防止のため、第6管区海上保安本部は2023年11月に委員会を立ち上げ、対策を協議してきた。

海域を航行する船に新ルールを伝える来島海峡海上交通センターの統括運用管制官=1日午前、今治市湊町2丁目

© 株式会社愛媛新聞社