栃木県内路線価、5年連続で宇都宮駅東口が最高 LRT開通で利便性向上 佐野でも上昇

 関東信越国税局は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2024年1月1日時点の路線価を公表した。県内に約4800地点ある標準宅地の評価基準額(1平方メートル当たり)の最高額は、5年連続で宇都宮市宮みらいの宇都宮駅東口駅前ロータリーだった。昨年8月に次世代型路面電車(LRT)が開業し、利便性が向上した影響とみられる。8税務署別の最高路線価の所在地では、宇都宮市と佐野市が上昇した。

 県内の標準宅地の対前年変動率の平均値は、マイナス0.2%と15年連続で下落し、下落幅は前年より0.1ポイント拡大した。

 県内8税務署の最高路線価の所在地は、8カ所とも前年と同じ。最高額の宇都宮署管内の宇都宮駅東口駅前ロータリーは1平方メートル当たり33万円で、前年より3.1%(1万円)上昇した。

 県不動産鑑定士協会の鈴木健司(すずきけんじ)会長は「宇都宮駅東口は好調なLRT効果に加え、専門病院や高級マンションが建設されるなど商業集積の向上が期待される」などと地価上昇の理由を分析する。

 佐野署管内の最高路線価は佐野市浅沼町で、評価基準額は4万7千円と前年より2.2%(千円)上昇した。同所が最高地点となった17年以来、上昇するのは初めて。佐野プレミアム・アウトレットなど商業施設に近い幹線道路沿いで、アフターコロナで需要が回復したとみられる。佐野署管内の最高路線価が上昇するのは1992年以来32年ぶり。

 横ばいは栃木、氏家、真岡署管内の3カ所だった。下落したのは3カ所で、足利署の足利市朝倉町の国道293号がマイナス1.7%、鹿沼署の鹿沼市西茂呂2丁目の鹿沼駅西通りは同2.3%で、いずれも5年連続のマイナスとなった。大田原署の那須塩原市大原間西1丁目の那須塩原駅西口ロータリーは2年ぶりに下落した。

 鈴木会長は「県全体でみると利便性の高い住宅地は上昇傾向が続くが、県北・県東の郊外部、山間部の過疎地域では下落傾向が続いている」と指摘した。

 路線価は主要道路に面した土地の標準価格で、地価公示価格などを基に算出される。

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