「本当にくたびれる」もう対戦したくない!? 47年ぶりの銀メダル・日本男子バレーの“粘り強さ”に仏エース脱帽「我慢強く、すべて守ってくる」【ネーションズリーグ】

異国の地ながら、まるでホームのような雰囲気に包まれた。

現地6月30日、ポーランドのウッチで開催された男子バレーボールの最強国決定戦「ネーションズリーグ」の決勝戦で日本代表(世界ランク2位)は東京五輪金メダルのフランス代表(同5位)と対戦した。セットカウント1-3(23-25、25-18、23-25、23-25)で惜敗したものの、主要国際大会47年ぶりの銀メダルを獲得した。

1972年ミュンヘン五輪以来の金メダルを目指した日本だったが、1か月後に迫ったパリ五輪のホスト国が立ちふさがった。第1セットはほぼ互角の展開だったが、競り落とした日本は続く第2セットを奪い返したが、フランスの高いブロックと強打、洗練された攻撃に手を焼きマッチポイントを握られる。最後はエース石川祐希のスパイクがブロックされ、ジ・エンド。フランスの歓喜の声が会場に響いた。

フランスの2年ぶりの優勝で幕を閉じた男子だが、この試合で”ある異変”が起きた。観客の大半が「ジャパン!」と声援を送り、フランス側には容赦ないブーイングを浴びせていたのだ。日本が得点を挙げたり、長いラリーを制すと大きな拍手が起こり、完全に日本びいきの雰囲気だった。

会場の異様な空気は選手たちも肌で感じ取っていたようだ。フランスの日刊紙『Le Parisien』は「フランス代表は、パリ五輪に出場する1か月前に、このような素晴らしい祭典があるとは夢にも思っていなかっただろう」と記し、彼らの躍進を称賛した。
しかし一方で、「勝ったフランスは日本の猛攻と正確無比な技術に対応しなければならなかった」と言及。日本は全員が難しいボールに即反応を示し、驚異のレシーブ力で攻撃につなげる粘り強いバレーに脱帽していた。

両チーム最多24得点を挙げたオポジットのジャン・パトリは同紙の取材に対し、「日本戦はいつも難しい試合だよ。彼らは本当にいいプレーをするし、我慢強く、すべてを守ってくる」と称えている。フランスを牽引するエースは加えて、「日本と対戦するのは毎回とても難しいし、本当にくたびれるよ」と紙一重での勝利に安堵。油断ならない相手だと、あらためて警戒を強めていた。

ネーションズリーグでのメダル獲得は昨年の銅メダルに続き2大会連続。パリ五輪の前哨戦として位置付けた今大会は世界ランキングを2位にまで引き上げるほど、大きな飛躍を遂げた日本男子バレーに世界の注目は尽きない。

構成●THE DIGEST編集部

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