角田裕毅、オーストリアGPは「謎」のペースダウンで14位フィニッシュ…F1公式サイトは「有利ではない戦略で厳しい午後を過ごした」

F1第11戦のオーストリア・グランプリは6月30日に決勝が行なわれ、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は14位フィニッシュに終わり、2戦ぶりのポイント獲得はならなかった。

終始低調だったスペインGPと比べて幾らか改善はされたものの、予選は14番手でQ3進出を逃した角田は、決勝をミディアムタイヤでスタートし、第1スティントを21周まで引っ張り、続いて44周目までユーズドのハードタイヤ、そして最終スティントは新品のハードタイヤで追い上げるという戦略を採った。しかし、最終的には順位を上げられずにチェッカーフラッグを受けている。

角田はチームの公式サイトを通して、「レースでは良いスタートが切れて、アルピーヌの車とダニエル(・リカルド)の後ろにつけましたが、第3スティントまでに大きく後れを取りました。なぜペースが落ちたのかを調査する必要があります。ダニエルは今日のレースで良い仕事(9位フィニッシュ)をしたので、最終的には良い結果になりました。チームとして今後のレースでどのような方向に進むべきかをより理解できたようなので、ポジティブな結果と言えます」と、このレースを振り返った。

そんな彼について、RBのマシンパフォーマンス担当のチーフエンジニア、クラウディオ・バレストリは、「今日はドライバーの戦略を分けることにし、第1スティントではダニエルを早めにピットインさせ、ユウキを長く走らせた。ダニエルの方が非常に上手く機能したが、ユウキのレースはやや困難なものとなった。ペースは同じ戦略を採った他車と同じぐらいだったが、最後のスティントを短くしたため、アドバンテージを最大限に活かすことができなかった」とのコメントを残している。
一方、ローラン・メキーズ代表は、2ポイントをチームに持ち帰ったリカルドを称賛するとともに、「ユウキは予選とレースの両方で(リカルドから)わずかに遅れた。中団争いは非常に激しいため、今日はポイント圏外に終わる結果となった」と角田の苦しかったレースに言及した。

F1公式サイト『F1.com』は、「去就についてメディアの憶測が渦巻く中、好結果を目指したリカルドは、見事に9位フィニッシュで今季3回目の入賞。一方、おそらくはあまり有利ではない戦略を採った角田は、厳しい午後を過ごすこととなり、14位以上の順位を得るだけのペースを得られなかった」と伝えている。

また各国専門メディアの報道では、フランスのモータースポーツ専門サイト『NEXTGEN-AUTO』が「角田はレースが進むにつれてパフォーマンスが低下。彼は原因が分からず、『それは謎だ』と述べている」と綴り、イタリアの自動車専門サイト『MOTORIONLINE』は以下のようにRBのレースを総括した。

「リカルドはキャリア250回目のグランプリをポイント獲得で祝った。この2ポイントは、RBにとっては重要なものである。彼やチームは、パフォーマンスの面で大きな進歩を示している。このようにオーストラリア人ドライバーの戦略は非常に良かったが、対して角田のそれはやや劣り、彼はチャンスを活かせずに14位でレースを終えた」

構成●THE DIGEST編集部

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