蹄が人間の頭4つ分!? 『北斗の拳』『銀河』にも…漫画やアニメに登場する「デカすぎる動物」

『北斗の拳』究極版 第11巻(コアミックス)

漫画やアニメでは、登場人物のほかに“動物”が出てくることも多い。動物が登場すると、ときには場が和み、作品をほっこりさせてくれることもあるだろう。

しかしバトル系漫画やアニメにおいて登場する動物は、とてつもなくデカいことがある。作品を盛り立てるためにはある程度大きく見せないといけないのかもしれないが、なかには、まるで巨大な建物のようにありえないほどデカすぎる動物もいるのだ。

そこで今回は、王道少年漫画やアニメに登場する、“とてつもなくデカい動物たち”を紹介したい。

■ばんえい競馬の比じゃない『北斗の拳』のデカい馬“黒王号”

原作:武論尊氏、作画:原哲夫氏による『北斗の拳』は、1983年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された人気漫画だ。本作にはとてつもなくデカい馬が登場する。それが主人公・ケンシロウの最強ライバル、ラオウが乗る馬“黒王号”である。

黒王号が初めて登場するのは、南斗水鳥拳伝承者のレイとラオウが出会うシーンだ。ここでの黒王号もかなりデカいが、まだそこまでの大きさは感じない。しかし南斗六聖拳の1人、サウザーの聖帝十字陵に登場したシーンでは、黒王号の蹄はザコの頭よりも大きく、一瞬で頭を踏みつぶしている。また「忠誠の代償! の巻」に登場する黒王号の蹄は、ザコの頭4つ分ほどあり、ひれ伏したザコたちを一瞬で次々に潰してしまうのだ。

現実でいうと、一般的な馬の蹄鉄の大きさは12cmらしい。しかし黒王号の場合はザコの頭4つ分ほど……。人の顔の縦幅の平均が約20cmなのを考えると、蹄の大きさは40cm以上もあることになる。

さらに身長もザコの2倍以上はあるように見えるので、少なく見積もっても黒王号の身長は4mほどあるのだ。デカい馬といえば北海道のばんえい競馬が有名だが、あの馬でさえ身長はマックスで2mほど。そう考えると、黒王号がいかにデカい馬なのかが分かるだろう。

■秋田犬の20倍の大きさ!? 『銀牙 ー流れ星 銀ー』赤カブト、赤毛の魔性

『銀牙 ー流れ星 銀ー』は、1983年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で掲載された高橋よしひろ氏の漫画だ。少年漫画では珍しく、主役は犬たち。主役の“銀”を中心に、犬たちの熱い友情や戦いを描いた名作である。

そんな本作には、犬たちの最大の敵である“赤カブト”や“赤毛の魔性”という名のクマが登場する。本作は犬目線で描かれており人間より視線が低いため、巨大に見えるのは当然かもしれない。しかしそれを踏まえても、クマたちの大きさは半端じゃないのだ。

たとえばコミックス13巻「牙城決戦突入の巻」では、犬たちと赤カブトの全面対決がはじまるのだが、犬たちに襲い掛かる赤カブトの大きさは、大型犬である秋田犬・銀の15倍ほどある。赤カブトはツキノワグマとヒグマ両方の特徴を持ち合わせていて、クマとしての正確な種別は明らかになっていない。ちなみに一般的なヒグマの大きさは体高約2m~3m。秋田犬の平均体高は約65cmなので、普通のヒグマでもせいぜい秋田犬の3~4倍くらいだろう。

また、赤毛の魔性もどう見ても体長10mはあるデカさだ。そんな赤毛の魔性に対し「今度はオレ達が相手だ!!」と果敢に襲い掛かっていく数十頭の犬たちだが、それほどの総力戦で挑んでも巨大な赤毛の魔性には太刀打ちできない。

そもそも、赤毛の魔性は過去には漁船に乗り込み、乗組員の人間25人を食いつくして丸々と太り、巨大クマになったという過去がある。現在でもツキノワグマ、ヒグマの被害は全国で報告されているが、本当に赤カブトや赤毛の魔性のようなクマが存在していたらそれはもう恐ろしい限りだ。

■イタチの大きさはビルの建物ほどあると思った『ガンバの冒険』

『ガンバの冒険』は、1975年4月から日本テレビ系列で放送された東京ムービー(現:トムス・エンタテインメント)制作のアニメだ。1984年には、映画「冒険者たち ガンバと7匹のなかま」が公開されている。

『ガンバの冒険』のあらすじはこうだ。主人公はネズミのガンバ。仲間とともに楽しく暮らしていたが、ある日、子ネズミの忠太が傷つき助けを求めてくる。忠太の話によると、残虐な白イタチの“ノロイ”にネズミたちが襲われ続けているという。そこからガンバと仲間たちは、イタチのノロイを倒すべく奮闘するというストーリーだ。

本作も小さなネズミが主役ということもあり、ノロイの大きさは非常に巨大に見える。一般的な日本のイタチの大きさは35cm程だが、白い巨体で襲い掛かるノロイの姿はとてつもなくデカいのだ。

とくに映画館のスクリーンで荒波をバックに登場するノロイは怖かった。その迫力に圧倒された幼い頃の筆者は、“ノロイはビルよりもデカく、動物のなかでも最強”と本気で思いこんでしまっていた。

子どもたちにトラウマ級の恐ろしさを与えたイタチは、世界中どこを探してもきっとこのノロイだけだろう。

デカい動物の多くは主人公たちを苦しめる存在だ。その尋常ではない大きさが読み手に恐怖を与えるも、立ち向かい、やっつけたときには爽快感がある。

ちなみにデカい動物の描写は、実写だとかなり違和感があるだろう。しかしアニメや漫画の世界で登場する巨大な動物は、違和感なく受け入れられる不思議な魅力があるのも事実だ。

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