東京都議会議員補欠選挙で咲く花は何色か?今後の政局へ甚大な影響を与える“ほぼ”国政並みの都議補選9選挙区の解説!(坂本東生)

6月20日告示7月7日投開票の東京都知事選挙と時を同じくして、6月28日告示7月7日投開票の東京都議会議員補欠選挙が実施されている。

今回、選挙ドットコムさんから「都議補選について長めの文章で各選挙区情勢について説明をしてほしい」との依頼を受けた。通常の貴HPであれば2,000文字程度のすっきりした文量で読みやすくが基本であるのに「その5〜6倍でお願いします」とのことであった。予防線としてこの前文を添えつつ、現在真っ最中の都議補選についてできる限り公平公正平等に説明をしていきたい。

今回の補選は、なぜここまで注目されるのか。東京都議会議員選挙はこれまで幾度となく「国政選挙に向けた観測気球」としての機能を果たし、その後の政権運営や衆院解散総選挙実施に向けた測定対象として捉えられてきた。今回の都議補選もまた今秋とも来年衆参同時とも言われる衆議院解散総選挙に大きな影響を与えると見られ、各政党の党首閣僚級がこぞって応援に駆けつけることになる。そしてなにより9つの選挙区と数が多い。

まさに国政選挙の前哨戦として、今後の政治をうらなう東京都議会議員補欠選挙9選挙区について解説をしたい。

国≠東京都。東京都の会派・政党の権謀術数とお家事情

来年夏には全127議席改選の都議会議員選挙本選が控えているが、首長選挙が開催されるタイミングで議会欠員分の補欠選挙が開催となるため、今回開催の都議補選は残任期1年の9選挙区9議席を選出する選挙だ。各選挙区1名を選出するがこれほどの規模となる補選はなかなかない。

欠員の発生理由としては、以下

  • 議員の逝去 → 4ヵ所(足立区、八王子市、府中市、南多摩選挙区)
  • 都議の他選挙への出馬による欠員 → 4ヵ所(江東区、品川区、中野区、北区)
  • 議員の不祥事による辞職 → 1ヵ所(板橋区)

となっている。

まずは今回都議補選に候補者を擁立した会派(政党)の状況を確認し、国政と東京都との微妙な違いを見ていきたい。

自由民主党 8候補擁立/9選挙区

今回自民党は南多摩選挙区以外の8ヵ所に元職2名、新人6名の計8候補者を擁立している。

国政における派閥の献金問題は当然に相当な影響を与えているが、もう一つ厄介なのが都知事選とのねじれだ。

8年前の2016年の都知事選挙にて自民党を飛び出した小池百合子(当時)衆院議員が都知事に就任して以来、今や自民党支持層のうち7割前後は知事選で小池候補を支持しているとの調査が出ている。都議会自民党会派としては「政策的に一番近い」とし自民党総裁も小池知事候補の支援を明言した。8年続いた自民v.s.小池知事の政争に幕引きの時が訪れようとしている。が、感情的なしこりは未だ残る。

この過渡期に翻弄されているのが今回の都議補選候補者たちだ。板橋・北・中野の各選挙区では自民党と都民ファーストの公認候補が直接対決をしている。自民党としては国政問題で叩かれ、知事選では客人としての呉越同舟となる。船が岸に着く開票日に自民党候補は何人生き残っているのか。

都民ファーストの会 4候補擁立/9選挙区

都民ファーストの会は絶対安定政権小池百合子知事の知事政党として、都議会では最大会派にはなれていないものの大きな力を持っている。先にスタートした知事選の最中も含め知事政党の名のもとで活動ができるので相乗効果は大きい

一方で、知事政党として歩んではきたものの、都民ファースト所属議員は地域への根の張り方や政治的実力について党所属議員間で力量に大きな差があるのも事実だ。党設立以来の歴史が浅く「純粋・都ファ」議員は経験が少ない。他党からの移籍組でも、実質的に党務を捌くことができるのはほんの数名である。今回の4候補者についても「都ファ純粋培養」は元職の一人しかおらず、他の新人候補はいずれも他党からの移籍組となっている。

また現在71歳を迎える知事の「その後」を見据えたとき、新しい御旗をどう立て誰を中心人物としていくのか。国会議員は一人もいない。知事選挙の報道を見ていても候補者随行(付き人)を都議が担っていたのは都内市区町村議員の育成ができていない証で、今後の人材不足が気がかりな中、何名を都議に押し上げることができるのか。

公明党 0候補/9選挙区】

都議会公明党は欠員が生じておらず今回の補選では候補者擁立をしていない。都知事選を踏まえて、党としてブレずに小池知事を支援しつつ政党として推しの政策を掲げてきていきたいところだ。

6月28日の記者会見では公明党石井啓一幹事長が「都知事選に注力しており、補選は基本的に静観している状況だ」と記者会見で述べたとの報道がある。1年後に都議本選があるのだから今回は組織として他党候補に肩入れはできない、との意味と推測するが、実際には全ての選挙区で公明党支持者の動向がキャスティングボートを握っている。ここ最近の都内首長選挙で公明党は期間中に支援方針を組織決定するケースが多々見受けられる。なので他党候補者は党利党略以前に「この人物ならば投票する」と判断してもらえるだけの姿勢と政策を少しでも早く打ち出して個別支援を得られるかが勝負となってくる。しかしそこは権謀術数に長けた党、一筋縄でわけはない。

まさに「東京都政の審判団・公明党」(私が個人的に敬称としてお呼びしているだけだが)としての本領発揮である。

【日本共産党 4候補擁立/9選挙区

ここ最近の共産党の動きは迅速だ。先に行われた港区長選挙では勝手連的に勝ち筋の候補者を支援する動きを見せ、都知事選でも立憲民主党参議院議員だった蓮舫候補の支援を立憲より素早く手厚く実行している。このあたりの感覚は鋭い。

ひるがえって都議補選の個々の陣営の様相を見てみると、はて従来の共産党に戻っている節がある。蓮舫知事候補者とのシンクロ戦略を貫くと思いきや、それはそれとしての教科書的な共産党選挙をスタートさせた。上と現場の考え方の違いの表れとして邪推してみるのもおもしろい。肌感覚では6月28日都議補選告示日を過ぎてからの方がX投稿は少ない気もする各陣営、「来夏にベテラン都議が引退するので今回は次回新人のための顔見世興行」などと気を抜くことなく、しっかりと多くの有権者から共感されるよう党勢拡大に努めてほしい。

立憲+共産の選挙協力はどうだろうか。候補者擁立については見事に立憲・共産の選挙区の住み分けに成功している。ただし共産党は他党候補者にあいのりする戦略は得意だが、共産党候補者を前面にして勝たせる戦略については新鮮味がない。首長選挙で成功し続けている立憲+共産だから都議補選でも成功するとして、一般的な予想記事ではシンプルに『立憲票+共産票』は出ると見込んでいるようだが、はたして。共産→立憲候補への選挙協力は実施されても、立憲→共産候補への選挙協力は行動統制が取れないのだよ、と肩透かしのフェイクとならないか

立憲民主党 3候補/9選挙区

国政とは違って都議会においては第5会派の立憲民主党だが、今回の補選と来年の本選にかけて党勢拡大に向けたビッグウェーブが来ている。都内の首長選挙では中央線沿いの自治体を中心に立憲推薦の候補者が現職をやぶって当選し続けており、今衆院解散総選挙があれば東京都選挙区として記録的大勝利となるとも言われている。

そんな中での都議補選。欠員前は0議席だった足立区と南多摩を含めて3名の女性候補者を擁立し新規獲得を狙う。都知事選の蓮舫候補と相乗りできる街頭演説を多発すれば聴衆への訴えかけは有利となる。千載一遇のこの機会に欠員前0から1議席でも増やすとなると国政への相当な追い風を吹かすことになるだろう。

ただし有権者は2009年の民主党政権誕生からの3年間を忘れてはいない。勢いや批判で都議補選の議席を確保したとしても都益を損なうような政治をすればあっという間に衆院選へ反映される。9日間の都議補選、勝つことが目的なのかそれとも理想とする政治の実現が目的なのか。立憲都連の動きを有権者はしっかりと見ている。立憲民主党としての政治的胆力を醸成できるのかどうかが全国の衆院選の試金石となる。

【日本維新の会・諸派・無所属 計11候補/9選挙区】

日本維新の会は、都知事選挙で独自候補を擁立できなかった。都議補選の9ヶ所のうちでも候補者擁立が出来たのは東京12区の日本維新の会衆議院議員がいる板橋と北だけだ。

関西で地域政党として勢力拡大をしてきたものの、東京においては知事政党がその機能を果たしており都議会への進出が阻まれている。衆参の東京選挙区では一定数の支持を集めているので、この都政での状況を地力不足ととるか実際の趨勢を見極めた適切な判断と取るかは意見が分かれるところであろう。

諸派・無所属候補については、各選挙区で実情が異なる。首長選挙へ立候補したが落選しそのままスライド出馬しているケース、現職都議が次の首長選挙の立候補を検討しているため後継者として顔見せ興業で出馬しているケース、(元)政党所属だったが事情あり無所属なケース、などが主だ。

まとめ

どの選挙区でもいわゆる「泡沫」と言われる候補者はほとんどいない。都知事選挙とは大きく異なり「ガチ勢」ばかりが本気で議席獲得を目指している。各会派は多くの有名国会議員を応援演説に投入して議席を争っている。都市部選挙も組織選挙も政党の思惑もネット戦略も動員戦略も、すべてが東京都の領域で展開されるこの都議補選にぜひ着目して欲しい。

9選挙区ごとの状況と候補者解説

江東区

自 v.s. 共 v.s. 無 v.s. 無

前回都議選結果:公明、自民、共産、都ファ(全4議席)

欠員前会派:自民党

豊洲市場・有明開発、政治家辞職・逮捕と、話題に事欠かない選挙区

今回の都議補選に、自民党からは1回目区長選に挑戦したベテラン前都議が出馬、共産は実力派区議が、無所属の一人は前回の区長再選挙に出馬し3番手だった候補、もう一人の無所属は元衆院議員の孫で25歳の新人である。

現職区長の逝去、新区長の辞職と有罪判決、衆議院議員二期連続の逮捕、区長再選挙、衆院補選での公選法違反による陣営逮捕。1年半前に誰がこの状況を予測できただろうか。さらに言えば小池都知事の誕生以来、豊洲市場の移転問題、オリパラの会場問題もこの地が舞台だ。

ネット広告違反、街頭演説の妨害と、既存の選挙ツールにケチがついてしまった江東区では政治への厳しい視線にさらされた状況下でどう選挙を進めるべきか各陣営悩むところだろう。政治が街の鏡であるならばこれ以上鏡を汚すことのない政治とはなにか、具体的な筋道を提言するのが必須である。遵法精神、必要な法改正、政治倫理、政治資金、江東区民の持つ根深い政治不信を取り除く義務が候補者にはあると思う。しっかりと選挙期間中にうったえてほしい。

江東区は従来より自民党色が強い地域だったが、区長再選挙では小池知事の部下が都ファ自公などの相乗りで初当選した。先の衆院補選では区長選で次点だった立憲公認候補が出馬し当選している。今回の補選の結果は江東区の大きな分岐点となるはずだ。大局的な視野と現実的な実行力が求められる一方で、応仁の乱後の焼け野原に種を蒔くごとくに、地道な努力を続ける姿勢を各候補者には期待したい。**

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品川区

自 v.s. 立 v.s. 無 v.s. 無

前回都議選結果:公明、無所属、共産、立憲(全4議席)

欠員前会派:無所属

街の開発発展とともに、政治風土の発展も期待される地域。選挙戦略も政策も要注目

自民党は男性若手区議を擁立、都議前任者の森沢区長は後継として女性候補を指名、立憲は現職都議が衆院東京3区に鞍替えのため後継として女性秘書を擁立した。もう一人は行政書士の女性新人が立候補した。

東京23区で女性区長が立て続けに誕生する先駆けとなった品川区。だが実は圧倒的な支持を得て勝ったわけではなく、各会派入り乱れ混沌としている。品川区の国政ではベテラン松原仁氏が品川区東京3区から大田区目黒区の東京26区へのスライドを表明したことで、衆・区長・都議のパワーバランスがくずれて状況が大きく変化している。都議補選の結果次第では国政へ誰かが挑戦し、玉突きでまた選挙が発生する可能性を孕んでいる。来年の都議本選の擁立事情も絡み将来有望な実力者が打ち揃う、今東京でもっとも活力があり前向きな政策議論が期待されている注目の選挙区だ。

実力派候補者同士による政策論争、『政策の品川』と称されるような展開を期待したい。

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中野区

自 v.s. フ v.s. 共 v.s. 無

前回都議選結果:立憲、都ファ、公明(全3議席)

欠員前会派:都民ファースト

8年政争の象徴地域、将来を見据えて具体的な行動と施策を

自民党は元区議会議員が2度目の挑戦、都民ファーストは参院選へ出馬したが落選して戻ってきた小池知事候補の1番の懐刀、共産党は前回の統一地方選挙で苦杯を舐めたベテラン元区議を擁立している。無所属の候補者は小池知事の不正を訴えている元都ファ事務総長の男性を支援者に立候補した。

中野区は都民ファーストと自民党の衝突する象徴的な選挙区であり、そして象徴的な候補者同士が争っている。そこに虎視眈々と共産党が蓮舫候補推しを強く掲げて議席を狙っている。自民党にとっては首長、衆院、都議、と一つも押さえることができずにいる地域であるが中野区駅前での自民党総裁街頭演説では大動員も実施してきており、支持が薄い地域というわけではない。一方で前回の都議選でトップ当選をしたのは自民でも都ファでもなく立憲の候補者であり、この票は誰に流れるのか。公明党は前回3番手の現職を来年必勝とするためにも補選で誰を支援するのか、それとも眠るのか、見えてこない。

中野サンプラザを中心とした中野駅前開発も進み、街は生まれ変わっている。同様に中野区の政治状況も新しく生まれ変わって欲しい。

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北区

自 v.s. フ v.s. 共 v.s. 維

前回都議選結果:自民、共産、公明(全3議席)

欠員前会派:自民党

月はどっちに出ているか、実態が見えにくいのに投票率が高い地域の多重構造

自民党は6期目の男性区議が19年ぶり2度目の出馬、都ファは昨年区長選に挑戦した元区議が移籍し擁立、共産は現職都議の後継として2期目の女性区議を、維新の会からは男性会社員が出馬した。

北区は、常に投票率が高い。そして友人知人への紹介や依頼というつながりも色濃い地域だ。だがその割に都議選はいつも「ふわっ」とした、つかみどころのない選挙戦になることが多い。区なのか都なのか国なのか、浮動票なのか組織票なのか、そもそもどんな主義主張なのか。選挙前に区議会会派を割ったり、他党の衆院公募に応募した直後にまた移籍したり、あっちにでたりこっちに手をあげたり。登場人物全員どっちを向いているのかよく分からなくなることが多く、有権者も判断に迷うのではないか。支持政党とは、議員が政党を名乗る意味とは。そろそろ皆さん落ち着かれたらどうですか?と、毎回心から思う。

国政において、長らく衆議院選挙区与党候補を立てていた公明党が隣の足立区29区へとスライドし、次回から自民党が擁立となる。この地域、3年前の都議選で共産党に抜かれて3位となった公明党が、来年に向けてどう今回の補選を踏み台としていくか、公明v.s.共産の見えない勝負も見ものである。

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板橋区

自 v.s. フ v.s. 共 v.s. 維

前回都議選結果:公明、立憲、都ファ、自民、共産(全5議席)

欠員前会派:都民ファースト

政治不信が渦巻く舞台、選挙戦略巧みの役者がそろう選挙区

自民党は元職が7年ぶりの復帰を目指す、都ファは昨年の区議選で惨敗した1期生元区議が都ファに移籍し出馬、共産はベテラン女性区議が満を持して現職後継として登場、維新は衆院議員秘書を擁立した。

都ファの女性議員が選挙期間中の交通事故を起こし、ワイドショー総なめで大騒ぎとなった欠員の補欠選挙である一方で、日本中を渦巻く政治不信問題に関わる衆議院議員が選挙区を構える場所でもある。

有権者がこの数年の事態に対してどう判断をするのか。圧倒的に自公が支持を集める国政選挙と、同様に自公が議席を多く占める区議選。一方で都議選だけは自民がめっぽうに弱いという、ここ数年の選挙情勢。

候補予定者全員が区議・都議・秘書のいずれかの経験者で、20年以上近く政治に携わってきた方々も出揃う技巧派の戦いとなる。

衆議院選を間近に控える全国の関係者にとっても、自民党支持層だった有権者がどう投票行動を取るのかの大切な指標となる注目選挙区だ。

立憲は現職がいる関係で候補者を擁立しない分、今回の立憲票はきちんと共産に乗るのだろうか。
ここはひとつ、有権者には飛び交う情報や巧みな言葉に流されず板橋区のためになる人物を政策と人柄で判断し、信じることのできる方をぜひ選んでほしい。

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足立区

自 v.s. 立

前回都議選結果:都ファ、自民、公明、自民、共産、公明(全6議席)

欠員前会派:自民党

現職自民党都連幹事長の逝去による都議補選、無投票かと思いきや一転直接対決に

自民党は、公募により新人の女性を擁立、立憲は区議2期目の女性候補が7年ぶり2度目の出馬。女性同士の一騎打ちとなった。

欠員となった自民党候補者だけが手を挙げる無投票選挙かと目されていたが、党利党略・私利私欲・権謀術数が五月雨の如くに繰り広げられ、この2名の候補者の顔ぶれとなったようだ。『都民のため地域のため』、ひときわ大きな利他的意識の政治家が足立区の特徴であるにもかかわらず、選挙についてだけは毎度後味の悪いプロセスとなる。

自民党にとって、大物都議であり自民党都連幹事長だった故・高島直樹先生がいなくなった影響は極めて大きい。無風の選挙区に一陣の風が吹き、空中分解寸前である。陣営の現場では必死に立て直しているが間に合うか。

一方、議席のなかった立憲にとってこの混乱は千載一遇のチャンスである。何がなんでも総力戦で議席を狙うべきであろう。共産、そして公明や都ファの思惑が絡まって化学反応がおこるのか。

しかし、この際敢えてこの両陣営には苦言を呈したい。

両候補とも都議会議員を担うだけの政治執行能力を兼ね備えているのか。都政を背負えるだけの政策を提言しているのか。ひとりひとりの有権者と向き合い、全力で政治で応えようとしているか。両候補者はこの選挙に、選対の誰にも負けない熱量で向き合っているのか。

他選挙区の候補者たちが人生を賭けて戦っている熱量と比較すると、申し訳ないがそのような気概は足立区からほとんど伝わってこない。来るのは「熱量がない」という周囲からの嘆きだけだ。

選挙の魂は細部に宿る。状況は一進一退、である。

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八王子市

自 v.s. 諸

前回都議選結果:公明、共産、自民、自民、立憲(全5議席)

欠員前会派:自民党

自民&都ファ 握手の象徴、結末は最後の最後まで分からない

自民党は4期目の市議を擁立。対する諸派は元都民ファースト所属で2期都議の後市長選に出馬し次点で敗北した候補者が手を挙げた。自民v.s.元都ファの一騎打ちとなる。

自民党にとっては有望な若手都議が病に倒れ急逝されたその弔い合戦である。立憲、維新、公明は来年の都議現職の改選も見据えて候補者擁立を見送った。加えて都ファは現職がいないにもかかわらず候補者擁立を見送った。これは、中野区とは逆に小池百合子都知事と萩生田光一東京都連会長による相乗りラブワゴンの成功例である。実際に先般行われた八王子市長選挙で両党の相乗りが実現している。

しかし自民党にとってはそれほど盤石であるはずの選挙体制だが情勢は極めて流動的となっている。政治不信による自民党への逆風は一向に止まる気配がない。

一方諸派の候補者は2期都議を務めた元都ファ都議会議員で、今年1月の八王子市長選挙に出馬して次点であった。知名度は堅調で、底堅い選挙戦で返り咲きを狙っている。

どちらの候補者も政治に対する熱い思いを持たれている。蓋を開けてみるまで、結果はわからない。

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府中市

自 v.s. 無 v.s. 無

前回都議選結果:無所属、自民

欠員前会派:自民党

『自民v.s.共産系反自民v.s.立憲系非自民』水面下で動く思惑

自民は3期目の女性府中市議が出馬、共産党は1月の府中市長選挙に出馬した候補を無所属として支援、もう一人無所属で非自民を掲げた女性が出馬している。

自民党ベテラン議員の逝去による欠員の補欠選挙で、公認は自民党1名、他2名は無所属と称しているがこの選挙区では無所属の解釈が難しい

現職に無所属都議がいるがつねづね他選挙へのスライドの噂が飛び交っており、この都議を支援している(支援していた)各政党の水面下での動きが都議補選の様相を複雑にさせている。なぜ今回の補選に女性無所属候補を立憲として擁立しなかったのか、それともできなかったのか。都ファと公明はどう動くのかなど、駆け引きが続いている。

多摩地区特有の政党会派のパワーバランスと思惑が絡み、『自民v.s.共産系反自民v.s.立憲系非自民』をベースとした流動的な選挙が続いている。票の上すべり横すべりなどが推測され、選挙期間後半3日間で事態が動くことも考えられる。

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南多摩選挙区(多摩市・稲城市)

フ v.s. 立 v.s. 無

前回都議選結果:都ファ、自民

欠員前会派:都ファ

急遽開催することとなった都議補選、急場の選挙にどれだけ対応できるかがカギ

都民ファーストは多摩市長選に2度挑戦した多摩市議会議員を急遽公認し擁立、立憲は25歳の初当選から6期多摩市議を務めた候補者を擁立した。また過去3回多摩市議選に挑戦している男性も手を挙げた。

都民ファーストのベテラン都議が都知事選告示日を目前に急逝され、補選の開催が決定された。まずは対応された都選管と多摩市と稲城市の選管職員の皆様にはその迅速な対応に頭が下がる。

この急場の選挙が決まった時、「誰が手を上げるのか」というよりも「誰が手を挙げることができるのか」がカギだったように見受けられる。都ファ候補は市長選で現職に挑んでいたこともあるが多摩市議会でやっていくと腹を決めていたように見られていたし、前回都議選で落選した女性前職が立憲から出ることも想定されたはずだ。また、この南多摩選挙区は多摩市と稲城市の合区であることから、稲城市議会からの動きも注視されていた。

今回の都議補選の3名はどちらも選挙経験は豊富であり、結果はこの急場の対応で有権者にどれだけ補選があることと出馬をしたことを知らしめることができるかにかかってくると思う。

東京都の選挙関係者界隈にとっては意外と目立たなかったこの南多摩選挙区だが、時間をかけても擁立に苦労する地域がある一方この短期間で都議補選の舞台が整った南多摩の底力を見た。多摩市稲城市がしっかりと競い合っての素晴らしい政策論争を期待したい。

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終わりに

真面目に政策と人柄で候補者を選ぶが本来の選挙であり、この都議補選ではまさにこの「選挙の根本」が実践される状況にある。党利党略・私利私欲ではなくて都民の幸福・生命財産を守ってくれる候補者をぜひ確かな眼で見極めていただき、選挙に向かってもらえたらと思う。

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