離島で見かけた「サメ出没注意」の標識 ⇒ 池をのぞきこむと本当にサメがいた! どういうこと?

沖縄県の石垣島から南西に20kmほど先にある離島「黒島」。そこを訪れた観光客が驚くべき報告をしてSNSで話題になっています。

黒島の空撮写真(Taro Hama @ E-kamakura / Getty Images)

黒島ってどんな島?

観光情報サイト「おきなわ物語 」によると、黒島は石垣港離島ターミナルから定期船で片道約30分ほどで着きます。黒島の形がハート型であることから、「ハートアイランド」とも呼ばれています。
サンゴ礁に囲まれており、ダイビングやシュノーケリングにも最適。ウミガメの産卵地としても知られています。
竹富町の公式サイト によると黒島の人口約220人に対して、牛の数は3000頭を越えるなど畜産業も発達しています。

黒島で牧草を食べる牛の姿(Cyoshi / Getty Images)

「サメ出没注意」の標識は本当だった。SNSで反響続出

牧草地帯が広がる、のどかな島。そんな風景に似つかわしくない驚くべき標識を見つけたのは、日本全国の離島巡りをしている「まきのじ」(@Makinoji )さんです。
黄色い標識にはサメのシルエットともに「サメ出没注意」の注意喚起が書かれています。気になって周辺の池をのぞいてみると、確かに透き通った水中をサメが泳いでいました。

6月24日、X(旧Twitter)に「本当に水たまりみたいな池にサメがいた」と写真を投稿すると、7月1日現在までに約1万5000件の「いいね」が寄せられました。不思議な光景に驚く人が続出しています。
💬「ジョークかと思ったらまじだった…」
💬「水めっちゃキレイやし大事に飼われてるんやろなー」
💬「フカくはなさそうな池をジョーズに泳いでる」
まるで淡水を泳いでいるように見えることから、Netflixで人気のサメ映画『 セーヌ川の水面の下に 』を連想する人もいました。
まきのじさんによると、この写真を撮影したのは6月23日。NPO法人日本ウミガメ協議会が運営する博物館「 黒島研究所 」で撮影したものでした。
まきのじさんは「ウミガメが多い島と聞いていたのでウミガメはいるだろうとは思っていましたがサメがいることは現地で初めて知りました」と振り返っています。

黒島研究所の「サメ出没注意」の標識(まきのじさんのXより) / Via x.com
黒島研究所の池を悠々と泳ぐレモンザメの姿(まきのじさんのXより) / Via x.com

黒島研究所に真相を聞いてみた

なぜ、こんなところにサメがいるのでしょう。BuzzFeed編集部が黒島研究所に取材したところ、真相が判明しました。
この池にいるのは レモンザメ で、体長1メートルほどの子ども3頭を研究所で飼育しているのだそうです。池の大きさは幅3メートル、奥行きが20メートルほど。池の水は淡水ではなく、井戸から出てくる海水でした。
この池で飼い始めたのは10年ほど前からだそうです。職員が付近の海で釣ってきたレモンザメを「飼いたいけど、お金がないのでスコップで池を掘った」という経緯でした。この池はレモンザメは当初の個体から代替わりしていて、途中で死んだり、大きくなったものは別の水槽に移動。新しい個体を補充しているのだそう。
「サメ出没注意」の標識を設置したのは3年ほど前。人間が落ちたらやはり危険なのかと質問したところ「人間のように大きなものが落ちたら、サメの方が驚くでしょう」という回答でした。
まさか研究所の職員が釣ってきたものだとは。沖縄の自然豊かな海ならではのエピソードですね。島の井戸水ですくすくと育つレモンザメが気になった方は、研究所を訪れてみてはいかがでしょう。

黒島の西野浜海岸。ウミガメの産卵ビーチで有名(Tokiomarinelife / Getty Images/iStockphoto)

© BuzzFeed Japan株式会社