野村萬斎さん、狂言にぎやかに 「能~幽玄への誘い~」閉幕 琉球新報ホール 沖縄

観客の笑いを誘う「舟渡聟」の一場面=1日、那覇市の琉球新報ホール(喜瀨守昭撮影)

琉球新報創刊130年記念「能~幽玄への誘い~」(琉球新報社主催、NPO法人白翔會共催)の最終日の公演が1日、那覇市泉崎の琉球新報ホールであった。野村萬斎さんが出演する狂言や、能「乱(みだれ)」が披露され、にぎやかに幕を閉じた。

 狂言「舟渡聟(ふなわたしむこ)」は、妻の実家にあいさつに向かうため渡し舟に乗った聟(むこ)と船頭のやり取りをコミカルに描く。船頭は聟の持つ酒だるに目を付け、強引に迫って酒を飲む。軽くなってしまった酒だるを持って聟が行き会ったしゅうとが、船頭だったという展開だ。船頭を演じた野村萬斎さんと聟を演じた野村裕基さんの掛け合いや表情が楽しく、会場は笑いに包まれた。

 能「乱」では、酒好きの妖精猩々(しょうじょう)が登場する。酒に酔って浮かれながら踊る舞は、つま先立ちや足を蹴上げるなどした足使いが特徴。猩々が水上を移動する様子を表現したと言われている。坂井音隆さんと坂井音晴さんが軽やかに舞い、観客を引きつけた。小鼓は人間国宝の大倉源次郎さんが担当し、朗らかな音色を聞かせた。

(田吹遥子)

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