【千葉魂】感謝の気持ちを形に 裏方に愛される中村奨吾 千葉ロッテ(第425回)

中村奨吾

 開幕前、中村奨吾内野手から1、2軍のチームスタッフ全員にオリジナルバスタオルがプレゼントされた。そこには自身の想いをこめて「Thank you for your support」とプリントされていた。

 中村奨吾は毎年、開幕前に決まって、支えてくれる裏方に感謝の気持ちからプレゼントを贈っている。昨年はTシャツ。一昨年はランニングシューズ。その前はサングラスだった。昨年は夏場、打撃投手に、しゃぶしゃぶのお肉セットを贈ったこともあった。デスクワークを行うスタッフには自身の折れたバットをメーカーに頼み、穴をあけるなどの加工を施し、特製の鉛筆立てとして渡したこともある。

 このことについて「いつも支えてくださっているチームスタッフの方々に、感謝の気持ちをなんらかの形に変えて伝えることも大事なことなのかなと思っている」と中村奨吾は話す。

 先輩たちの姿を見て覚えたことでもある。井口資仁氏も現役時代に毎年、開幕前にチームスタッフにサングラスをプレゼントしていた。その姿を見て、日ごろの感謝の気持ちを形にして伝えることの大切さを学んだ。

 中村奨吾は本拠地ZOZOマリンスタジアムで試合を行う時は誰よりも早く球場入りをして、ティー打撃やロングティーなどを行う。その時はチームスタッフが練習を手伝ってくれる。そんな、いつもサポートしてくれる人への感謝の気持ちを忘れたことはない。

 6月25日のイーグルス戦(ZOZOマリンスタジアム)で中村奨吾はプロ通算1000安打を達成した。三回2死一塁。カウント1-2から右中間への適時二塁打だった。ファンの大歓声を一身に受け、二塁ベース上で記念のボードを受け取るといつものポーカーフェイスが少し崩れた。

 試合後は「こうしてみんなが喜んでくれて、すごくうれしい気持ちです。そういう意味ではマリンで達成できてよかった。なかなかうまくいかないことの方が多いけど、サポートしてくださる方に恩返しというか、喜んでいただけるように、まだまだこれから結果を出して頑張らないといけないと思っています」とスタッフへの感謝の気持ちを伝えた。中村奨吾らしい言葉だった。

 お立ち台に上がりヒーローインタビューを受ける中村奨吾の姿を見ようと、一塁側ベンチ付近には多数のスタッフの姿があった。みんな自分事のようにうれしそうな笑顔でヒーローの言葉を聞き入っていた。みんなから愛される選手会長に両手を掲げ、心から祝福の拍手を送っていた。素敵な光景が広がっていた。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

© 株式会社千葉日報社