三重県内路線価32年ぶり上昇 令和6年分、上昇地域広がる

【地価が4年ぶりに上昇した津停車場線通り=津市羽所町で】

 国税庁は1日、令和6年分の路線価を公表し、三重県内標準宅地の平均変動率は32年ぶりに上昇した。鑑定評価に当たった不動産鑑定士は「客足の回復や経済状況の好転などにより、地価上昇の範囲が広がった」と話している。

 県内標準宅地の平均変動率は前年比プラス0.1%。前年はマイナス0.4%だった。東海4県では三重と愛知(プラス3.2%)が上昇し、静岡が横ばい。岐阜はマイナス0.2%だった。

 税務署管内ごとの最高路線価は四日市、桑名、鈴鹿、津、伊勢が上昇、松阪、上野、尾鷲が横ばい。県内の最高路線価で下落地点がないのは、記録が残る平成25年以降で初という。

 最高価格は四日市市安島1丁目の「ふれあいモール通り」で、14年連続。1平方メートルの価格は前年比6.1%(2万円)増の35万円。2年連続で上昇し、上昇率も県内トップだった。

 津市羽所町の「津停車場線通り」は、2.6%(5千円)増の19万5千円。4年ぶりに上昇した。県庁所在地の最高路線価の全国順位としては前年と同じ40位となっている。

 税務署管内ごとの最高路線価で最も低かったのは、尾鷲市古戸町の「国道42号通り」で前年と同じ4万6千円。直近の2年間は下落していた。名古屋国税局管内では13年連続で最も低い。

 評価に当たった片岡浩司不動産鑑定士は「昨年は四日市や桑名、伊勢での回復が目立ったが、今年は上昇した地点が増えた。地価の上昇が他の地域にも広がっている」と話す。

 近鉄四日市駅周辺の地価については「集客力の高さから引き続き好調。マンション用地としての需要も高い。バスターミナルの整備も始まり、まだ伸びしろが大きい」と語った。

 一方で「コロナ禍を経て土地を取得する側が慎重な姿勢。将来的な発展が見込める土地に限って取得する傾向もうかがえる。地域間の格差が広がっていく可能性もある」と話した。

 路線価は主要道路に面する土地の評価額。相続税などの申告で目安となる。1月1日時点の評価額を算定し、ホームページなどで公開している。県内では5207地点が調査対象となった。

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