大坂なおみがウインブルドンで6年ぶりに初戦突破!21歳の新鋭を相手にフルセットで勝利し「浮き沈みがあったけど多くのことを学べた」と安堵<SMASH>

いよいよ開幕した今季3つ目のテニス四大大会「ウインブルドン」(7月1日~14日/イギリス・ロンドン/芝)は、大会初日の現地1日に女子シングルス1回戦が行なわれ、妊娠・出産を経てツアー復帰を遂げた元世界ランク1位の大坂なおみ(現113位)が登場。ディアーヌ・パリ(フランス/同53位)を6-1、1-6、6-4で下し、同大会6年ぶりの初戦突破を果たした。

先の全仏オープン(フランス・パリ/クレー)では2回戦で敗退するも、大会3連覇を成し遂げた世界女王のイガ・シフィオンテク(ポーランド)からマッチポイントを握る健闘を見せた大坂。芝シーズンに入ってからも「リベマ・オープン」(オランダ・スヘルトーヘンボス/WTA250)でベスト8入りを果たし、試合を重ねるごとに調子を上げている。

大坂が聖地ウインブルドンでプレーするのは2019年大会以来5年ぶりで、今大会には本戦ワイルドカード(主催者推薦)で参戦している。その初戦で顔を合わせたのは片手バックハンドを武器とする21歳の新鋭パリ。前哨戦の「ロスシー・オープン」(イギリス・ノッティンガム/WTA250)ではベスト4に勝ち進んだこともあり、大坂にとっては厳しい戦いとなることが予想されていた。

試合は序盤から大坂が相手の時間を奪う力強いテニスでポイントを重ねていく。持ち前の強烈なリターンを軸に主導権を握り、第3ゲームから一気に5ゲームを連取。わずか22分で第1セットを先取する。しかし第2セットに入ると一転して大坂の打ち急ぎのミスが目立つようになり、第2ゲームで先にブレークを献上。その後も流れを引き戻せず、わずか1ゲームしか奪えないままセットオールに持ち込まれる。
勝負のファイナルセットでも自身の度重なるミスから第1ゲームでいきなりブレークを許した大坂。直後の第2ゲームでブレークバックに成功するも、第3ゲームで再びリードを許す苦しい展開となる。

それでも終盤に入ると元女王が底力を発揮。丁寧なストロークで第5ゲームから立て続けに3ゲームを奪うと、迎えた第10ゲームではパリの2本のダブルフォールトにも助けられる形で3度目のブレークを果たし、1時間32分の接戦をものにした。

勝利者インタビューで大坂はパリの粘りに手を焼いたことを踏まえ、「今日は本当に慌ただしく感じた。ポイントをコントロールするよう、常に自分に言い聞かせなければならなかった。彼女がスライスを打ってきた時などは、少しストレスがたまっていた」とコメント。

続けて「(試合は)とても楽しかったと同時に、とても緊張もしたけど、観客の皆さんがすごく盛り上がっていたので楽しかった」と振り返りつつ、「試合自体は少し浮き沈みがあったけど、全体的には多くのことを学べたと思う。3セットで勝ててホッとしている」と安堵の表情を見せた。

またこの日は娘のシャイちゃんの1歳の誕生日前日だったこともあり、「大会に残れたのは嬉しい」と喜びを語った大坂。2回戦では第19シードのエマ・ナバーロ(アメリカ/17位)と対戦する。次戦以降も奮闘を期待したい。

文●中村光佑

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