都政の課題「防災」 専門家の指摘は? 首都直下地震の懸念

都知事選に向け、TOKYO MXでは今週1週間にわたり都政の課題について取材を行うとともに、各候補が掲げる課題への政策をお伝えしていきます。初日のテーマは「防災」です。近い将来起こるとされている首都直下地震の際にどういった懸念があるのか専門家と街を歩きました。

30年以内に70%…首都圏でマグニチュード7クラスの地震が発生する確率を政府が発表してから20年が経とうとしています。いまこの瞬間にも起きるかもしれない大地震が首都・東京を襲ったとき、木造住宅が密集するいわゆる「木密地域」では家屋が倒壊し、大規模な火災が懸念されています。区内の約6割が「木密地域」である荒川区を防災の専門家と歩きました。

山村さん:「東京ではこういう耐震性の低い木造住宅の密集地域が各所にある。そういったところでは一旦火災が発生すると一気に火が燃え広がってしまう可能性が高い」

防災・危機管理アドバイザーの山村さんは、木密地域について、道幅が狭く建物が倒壊した場合、逃げ場を失うと共に、消防車両が入ることができず火が燃え広がるため危険性が高いと指摘します。東京都の試算では首都直下地震による死者は約6148人、建物被害は約19万4400棟となっていて、そのうち死者の4割、そして建物被害の6割が火災による被害だと想定されています。

山村さん:「一歩太い道路から路地に入るとですね、消防自動車が入れない、救急車も入れない。それぞれが地域ごとに我が家のリスクを確認する。行政はリスクを知らせる努力、住民はリスクを知る努力が非常に欠かせない」

東京都は木密地域の改善を図ろうと、都内の52地区を「不燃化特区」に指定し、区と連携して老朽化した木造建築の取り壊しや建て替えに助成金を出し、「燃えない街づくり」を進めています。都民約1400万人の安全のために「木密地域の火災」を防ぐことは、東京の喫緊の課題です。

山村さん:「命の通り道の確保が非常に重要なわけです。安全に命の通り道をつくる、これは東京都としてリーダーシップを発揮してもっと具体的な対策を示してほしい」

東京の大きな課題の1つ、「防災」について候補者それぞれの主張をまとめました。

現職の小池さんは「都民の命と生活を守る」として、木密地域の解消や無電柱化の推進などを掲げています。

蓮舫さんは小池都政の良い政策は継続しつつ、避難用の個室テントやトイレトレーラーの購入など足りない部分を補う形で政策をあげています。

田母神さんは地域ごとの防災体制の強化が必要としたうえで、ブレーカーの自動遮断装置の設置などを訴えています。

石丸さんは過密の解消が防災にもつながると話しているほか、自助・共助・公助の役割分担を明確化すべきと主張しています。

都政の課題、あすは「インバウンド」についてお伝えします。

そして今回、TOKYO MXは選挙ドットコムと共同で都知事選の「投票マッチング」を行っています。都知事選の争点となっている子育て政策や防災対策など都政に関する20の質問に答えることで、有権者が自分の考えに近い候補者を調べることができるようになっています。「MX 投票マッチング」で検索してください。投票先を決める際にぜひご活用ください。

■東京都知事選挙 立候補者(届け出順・敬称略)
野間口翔(36)/澤繁実(47)/大和行男(46)/木宮光喜(71)/小池百合子(71)/内海聡(49)/石丸伸二(41)/小野寺紘毅(79)/新藤伸夫(75)/竹本秀之(68)/桜井誠(52)/ドクター・中松(96)/安野貴博(33)/清水國明(73)/AIメイヤー(51)/桑原真理子(50)/後藤輝樹(41)/河合ゆうすけ(43)/福本繁幸(57)/黒川敦彦(45)/桑島康文(62)/田母神俊雄(75)/蓮舫(56)/内藤久遠(67)/内野愛里(31)/石丸幸人(51)/尾関亜弓(43)/小松賢(36)/加賀田卓志(47)/福永活也(43)/犬伏宏明(48)/武内隆(61)/遠藤信一(59)/上樂宗之(45)/二宮大造(53)/中江友哉(32)/舟橋夢人(58)/山田信一(53)/加藤英明(65)/草尾敦(55)/津村大作(50)/横山緑(46)/前田太一(38)/南俊輔(39)/福原志瑠美(41)/木村嘉孝(49)/三輪陽一(42)/松尾芳治(46)/穗刈仁(57)/小林弘(49)/加藤健一郎(74)/ひまそらあかね(41)/向後真徳(62)/牛窪信雄(51)/古田真(77)/アキノリ将軍未満(37)

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