みずほ銀行、「PKSHA AI Suite for Contact Center」を導入

PKSHA Technology(パークシャ・テクノロジー)と、グループ会社であるPKSHA Communication(パークシャ・コミュニケーション)は、みずほ銀行の次世代コンタクトセンターシステム構築の大規模開発を支援し、2024年8月よりそのサービス運用が開始することを発表した。

「次世代コンタクトセンターシステム」の社会的意義と概要

デジタル技術の進化と労働人口の減少により、企業のデジタル化が加速している。銀行ではATMや店舗の利用が減少し、今後10年で店舗の対面接点は半減、リモート接点は3倍に増加すると予測されている(※)。そのため、リモートでの顧客接点がさまざまな業態で重要視されている。みずほ銀行は、より良い顧客体験と高度なコンタクトセンター運営を実現するため、生成AIの活用、チャネル統合、CRM連携などの技術を導入した次世代コンタクトセンターシステムの開発を決定した。

PKSHAは、コミュニケーション領域におけるAI活用において過去12年以上の実績を持つことから、次世代コンタクトセンターの中核を担うAI実装に関連する全体設計および開発を行った。開発には、「AI Suite for Contact Center(エーアイ・スイート・フォー・コンタクトセンター)」という大規模コンタクトセンター開発における統合ソリューションを用いて、個別課題をAIで解決するソリューション事業と、プロダクトを展開するAI SaaS事業それぞれのノウハウ、そしてコンタクトセンターへの導入実績をもとに、同行のコンタクトセンター改革の支援を行った。

※みずほ銀行2023年IR資料より

「次世代コンタクトセンターシステム」におけるPKSHAの支援概要

「次世代コンタクトセンターシステム」の構築において、PKSHAはAIに関連する全体設計および開発を支援した。具体的には、オペレーター支援、顧客の問い合わせ自己解決の支援、コンタクトセンターのデジタル化と戦略的な運営支援という3つの領域を対象としている。

これらを通じて、顧客1人ひとりに合わせたサポートを可能にし、顧客の要望に応えることで、付加価値を高めることを目指す。

1.オペレーター支援AIにより応対品質を向上

店舗同様のサービス品質を実現するため、短時間で顧客のニーズを引き出して情報を提供するしくみを整備。具体的には、リアルタイムでマニュアルや資料をサジェストする「マニュアル/資料サジェスト」、音声認識技術で対話の要点を表示し、CRM登録を支援する「対話の要点把握/アフターコールワーク効率化」、応対品質を分析し向上させる「応対品質評価」の3つを整えた。

2.24時間対応可能なAI窓口により顧客の自己解決を支援

顧客の利用習慣の変化や若年層の増加にともない、24時間対応のオンライン窓口の需要が増加している。これに対して、ウェブや電話の問い合わせチャネルで、24時間対応可能な「PKSHA Chatbot(パークシャ・チャットボット)」、「PKSHA Voicebot(パークシャ・ボイスボット)」、「PKSHA FAQ(パークシャ・エフエーキュー)」などのAI搭載プロダクトを組み合わせて設置。これにより、顧客は24時間いつでも自分に合ったチャネルで問い合わせができ、自動窓口で解決できない場合はオペレーター(電話・有人チャット)につなけることで、早期の問題解決と利便性向上を可能にする。

3.業務のデジタル化によりコンタクトセンター管理業務を高度化

デジタル化と労働人口減少が進む中、コンタクトセンターはATMや店舗に代わる新たな顧客接点となり、サービス品質やオペレーターの能力開発が重要視されている。今回、業務のデジタル化を通じて、業務品質の標準化やオペレーター育成を支援するしくみを構築。AIによる感情分析や手上げ機能でスーパーバイザーがリアルタイムで対話状況を把握・サポートし、応対品質の分析・管理が可能になる。また、データ化された応対内容を分析・改善し、次回以降のサービス向上に活用できるようになる。

PKSHAのコンタクトセンター向け統合ソリューション「AI Suite for Contact Center」の特徴

デジタル化の進展により、コンタクトセンターの需要が増加し、応対品質と効率化が求められている。コンタクトセンターは、情報の円滑かつ正確な流通を通じて顧客満足度を向上させ、企業活動を強化する重要な経営資源とされている。「AI Suite for Contact Center」は、コンタクトセンターに最適化された複数のAI SaaSとさまざまなニーズに応えるAIソリューションを組み合わせた統合ソリューション。これにより、人とAIが協働する環境を提供し、顧客満足度向上に専念できる環境を整える。定型業務はAIが効率化し、応対品質を向上させるだけでなく、コンタクトセンターを能動的なサービス発信源へと変革する。

みずほ銀行 カスタマーリレーション推進部 参事役 佐藤健氏のコメント

弊行では、「お客さまが望むチャネルを選択でき、期待を超える仕掛けを作ることでお客さまからより深く信頼・信任される状態を作る」という次世代コンタクトセンター構想の下、AI技術の徹底的な活用に向けた最良のパートナーを探すべく2022年にPKSHA様に声をかけさせていただきました。

国外にも目を向けるとAI技術で先行する企業は多々あるものの、日本語の言語処理という目線でのAIアルゴリズムのカスタマイズ力、それらを生かしたチャット/FAQ等の製品群が弊社の要望に合致し、銀行コンタクトセンターの将来像について共通の価値観を持っていただけたPKSHA様をパートナーとして選定いたしました。

引き続き、お客さまに最上の体験を与えるコンタクトセンターを目指し、問合わせへの回答や提案の精度・速度の向上はもちろんのこと、入電量予測、お客さまの声の分析を通じたサービス改善、各種データ分析に基づく提案力強化、人材教育などあらゆる分野へのAI活用に一緒になって取り組んでいただくことを期待しています。

PKSHA Technology 代表取締役 上野山勝也氏のコメント

PKSHA AI Suite for コンタクトセンターは、日本ならではのおもてなしの文化を反映した コンタクトセンターに向けの統合ソリューションであり、国内で最も使われているPKSHA ChatbotやVoicebot、PKSHA FAQを統合し、多くの企業様の要望を反映しながら日々進化しています。コンタクトセンターは、日本人ならではのおもてなし文化が宿る、「企業様の顧客接点の要(かなめ)」です。オペレーターの方々の日々の頑張りで成立しており、人が減っていく未来社会においてもコンタクトセンターのオペレーションの維持/高度化は大切です。

弊社は、技術を社会実装する立場から、みずほ銀行様とともに本件に継続的に取組み、人とソフトウエアが共に進化する未来を実現してまいります。

© 株式会社翔泳社