豪中銀、労働市場下振れリスク踏まえ金利据え置き決定=議事要旨

[シドニー 2日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は2日、6月理事会(17─18日開催)の議事要旨を公表した。理事会はインフレ抑制のために追加利上げが必要かどうかを検討したが、労働市場の下振れリスクなどを踏まえ金利据え置きを決定した。

中銀は前回理事会で政策金利のオフィシャルキャッシュレートを市場の予想通り12年ぶり高水準の4.35%に据え置いた。据え置きは5会合連続だった。

議事要旨では、中銀が現在4.0%のインフレ率を目標の2─3%に抑制するために利上げを検討していたことが明らかになった。

議事要旨は「インフレが目標値に戻るのが想定よりも遅れたり、総需要と総供給のギャップが十分なペースで縮小していないと判断された場合にこうした状況になる可能性がある」としている。

その上で理事会は、経済が依然としてほぼ想定通りの軌道にあり、インフレ率が2026年に目標水準に戻ると見込まれる中、生産の伸びが軟調で労働市場への下振れリスクがあることから金利据え置きが適切と判断した。

求人率は今後の景気低迷を示唆しており、失業率はいったん上昇し始めると急速に上昇する傾向があると指摘。企業倒産件数の急激な増加も懸念要因だとした。

市場は、8月の利上げの可能性を36%程度織り込んでいる。7月末に発表される第2・四半期の消費者物価指数(CPI)が注目されている。5月と6月のCPIはいずれも予想を上回る伸びを記録した。

市場参加者が見込む25年末までの利下げ幅は17ベーシスポイント(bp)にとどまる。

議事要旨によると、理事会は雇用増加を維持しながらインフレ率を目標に近づけることは依然として可能だとしたが、「狭い道」が一段と狭まりつつあるとの認識を示した。

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