迷惑メール転送すると送信元が行政処分される? Xでアドレス拡散、宛先の「迷惑メール相談センター」が明かす実情

迷惑メールをとあるメールアドレスに転送すると、総務省が送信元を行政処分する――。こうした情報がXで拡散されている。宛先として拡散されているのは「迷惑メール相談センター」なる組織のアドレスだ。この情報は事実なのか。J-CASTニュースでは、同センターに実際の運用を聞いた。

「行政指導をするための材料」として活用

Xで拡散されている送信先のアドレスは、「meiwaku@dekyo.or.jp」だ。実際にこのアドレスに報告し、迷惑メールが来なくなったとの体験談も書き込まれた。

これは「迷惑メール相談センター」が、迷惑メールやSMS(ショートメッセージサービス)に関する情報提供を受け付けているメールアドレスだ。「迷惑メール相談センター」は、一般財団法人日本データ通信協会(デ協)が総務省の委託を受けて運営しており、迷惑メールに関する相談や情報の受け付け、分析などを行っている。

J-CASTニュースの取材に応じたデ協担当者は、このメールアドレスに提供された情報は、「迷惑メールの送信者に対し行政指導等をするための材料として活用させてもらっている」としている。

迷惑メールは、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(特定電子メール法)により規制されている。例えば、事前承諾なしで送ってはいけない(オプトイン規制)、送信者の表示義務などだ。迷惑メール相談センターは、こうした規制を守らない迷惑メールの送信者を総務省へ報告している。

迷惑メールの違法性はモニター用のメアドに届いたメールで判断

しかし、提供された情報のみで行政指導等の対象となるわけではないという。

「私どもの方でモニター用のメールアドレスを持っていますので、基本はそこに着信したメールで総務省に報告するかを判断しています。meiwaku@dekyo.or.jpに送っていただいた迷惑メールは、確認のための参考情報として扱っています」

さらに、海外からのメールは送信者を特定できないこと、警告してもすぐに発信元を変えて送ってくる場合があることから、「即効的な効果は期待できないと思う」と話す。

それでは、迷惑メールに困った場合にはどう対処すればよいのか。

「1番手っ取り早いのは、お使いのメールアドレスのキャリアやISP(プロバイダー)が提供するフィルタリングサービスを使ってブロックすることです。他にも、気をつけていただきたいポイントを、リーフレット等にまとめていますので、ぜひご覧ください」

フィッシングメールを見分けるポイントは

最近の迷惑メールの傾向についても尋ねた。デ協担当者は、クレジットカード会社や運送会社、ショッピングサイトなどに成りすましたフィッシングメールが多いと指摘する。

普段使っているサービスやサイトからのメールだと、つい押してしまいそうになる。正しいメールを見分ける方法は、次のようにアドバイスしている。

「メールの本文にあるURLを、クリックせずに(カーソルを)当てるだけで、どこにリンクするかが表示されます。それで『ドメインが違うな』というのを見てもらうのが一番確実です」

ほかにも、日本語におかしいところがないか、急かすような内容ではないか、メールの送信元がおかしくないか――が気を付けるポイントだという。

しかし、本物の画像を使うなど、ぱっと見ただけでは偽物だとわかりづらいものも多いという。

「たまたまamazonでものを買った時に、『クレジットカードが認証されませんでした』といった偽のメールが来るとか、誤認される場合もあるので、本当に気をつけていただきたいと思います」

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