太陽光パネルや紙おむつ...複合処理 相馬のタケエイ、再資源化構想

 相馬市に相馬事業所を置く廃棄物処理、リサイクル業のタケエイ(東京都)は、将来的に増加が見込まれる太陽光発電の廃棄パネルや、これまで再資源化が困難とされてきたごみ焼却施設で発生する焼却灰などを複合的に処理する「相馬サーキュラーパーク」構想に着手した。約28万平方メートルの敷地を持つ相馬事業所を活用し、複数の廃棄物を連動させて処理することで効率的な再資源化を実現する。2029年までに順次操業を始め、34年をめどに全面稼働を目指す。

 処理するのは太陽光パネルや焼却灰のほか、水分が多いため効率的なごみ焼却の妨げになる使用済み紙おむつなどで、いずれも「厄介もの」とされる廃棄物。

 相馬市や周辺自治体から搬入することを想定しており、同社は相馬サーキュラーパークを一定地域内で出た廃棄物を地元で再資源化するモデルケースにしたい考えだ。

 構想の概要は【図】の通り。既に関連施設の整備を進めており、今月にも稼働する予定の太陽光パネルのリサイクル事業では、専用の測定器を使って、再利用(リユース)の可否を確認し、使えるパネルはリユースパネルとして販売する方針。一方、利用不可能と判断されたパネルはアルミ、セルシート、ガラスなどに分離した上で売却する。再活用が難しい一部のガラスは、25年に始動する焼却灰などの再資源化事業で使用する。この事業では焼却灰を原料として建材、二酸化炭素の吸着資材などを製造する予定だが、細かく砕いたガラスを加えることで、灰に含まれる有害な重金属の溶出防止につなげるという。

 相馬事業所では6月、使用済み紙おむつを廃棄物固形燃料(RPF)として再資源化する実証事業を始めた。紙おむつだけでRPFを製造すると、燃焼時の熱量が不足するが、プラスチックのリサイクル事業で発生する残留物を混ぜ込み、熱量を高めることで、市場流通できる品質を備えた製品にする。RPFの一部は、焼却灰を焼成して無害化し、人工砂などに加工する事業でも活用する。敷地には、太陽光発電施設を設置し、各事業で使用する電力の一部として活用する。

 佐竹友儀副所長は「全国で同様の構想を進めることができ、それぞれの地域から出る廃棄物の特性を踏まえたサーキュラーパークを整備することも可能だ。この構想を具現化し、サーキュラーエコノミー(高度循環型社会)の実現に足元から貢献したい」としている。

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