【山根視来の MLS挑戦記/第1回】エキサイティングで戦術的。アメリカで感じた新たなサッカー

皆さん、ご無沙汰しています!! 山根視来です。今回、サッカーダイジェストさんでコラムを書かせていただくことになりました。アメリカでの生活、そしてMLS情報など日本ではなかなか接することのできないであろうトピックをお伝えできればと思います。気軽に読んでいただければ嬉しいです。

さて2024年から30歳にして初の海外挑戦をしたわけですが、非常に刺激的な毎日を過ごしています。まずはプレー面。自分は良くも悪くもここ数年“フロンターレ色”に染まってきました。「ここで持ったらこう走ってくれるよね」と阿吽の呼吸のようなものがあったわけです。

一方、アメリカでは、自分で行ける、打開できる選手が多い印象があり、多種多様な国籍の選手が集まっているからこそ考え方も異なって、僕の意見が合っているとも限らない。そんな環境で覚えたての英語を駆使しながらコミュニケーションを図る日々も楽しんでいます。ちなみに渡米時の僕の英語は中学生レベル(笑)。移動中などでも必死に勉強する毎日です。最近はスーパーでのお肉の量り売りのやり取りがスムーズにできたり、レストランの注文でのハプニングはほぼ起きなくなりました。

また日本のクラブと単純比較はできませんが(ロサンゼルス・)ギャラクシーのサッカーは(グレッグ・ヴァニー監督の下)細かく、戦術的です。相手のプレッシャーのかけ方によって後方での回しを3枚にしたり、4枚にしたり、プレスのかけ方を変えたり、トレーニングで入念に策を練り、試合で狙いがハマった時の快感は新たな発見ですね。

ただですよ、戦術的と話しておきながら開始5分でめちゃくちゃオープンになる試合もある(笑)。それは奪ったらまずは前へという意識が高いからこそで、個々のバトルは激しく、良くも悪くも退屈な試合が少ない。エキサイティングというワードがMLSの魅力と言えそうです。そのなかで僕はデカい、速い、強い、バネがあるアタッカーたちと毎回バチバチにマッチアップさせてもらっています。その経験こそが自分の求めていたもので、1対1の対応は少しずつ研ぎ澄まされている感覚です。

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アメリカには人工芝のグランドもいくつかあって、試合終盤になると普段とは違う筋肉が攣りかけたりするんです。腰にきたり、ふくらはぎがパンパンに張っている時に勢いのあるアタッカーに仕掛けてこられると正直キツイですが(苦笑)、必死に食らいついています。

それにこちらは飛行機移動が基本で、東海岸のチームとの試合は移動が5時間、加えて時差が3時間あったりもするので、体内時計がぐちゃぐちゃに。でもそんなハードな状況、僕、好きなんです(笑)。それにギャラクシーにはチームメイトの(吉田)麻也さんらの信頼も厚い“アイアンフィンガー”こと、トレーナーの清水俊太さんがいてくれるのも頼もしい限り。僕の関節には長年の疲労が溜まっているらしく、俊太さんにはそれを“溶かして”もらっています。ケアはすごく痛いんですが、これであと10年は現役を続けられるとふたりで話してもいます。

さらにピッチ外に目を移しても、めちゃくちゃ充実していますね。西海岸に位置するロサンゼルスは温暖な気候で写真を撮ればいつも青空。周囲の人たちも優しく、車を運転していても気持ちよくて、渋滞さえも楽しんでいます。そしてアメリカらしくサングラスも必需品(笑)。日本ではほぼかけたことがありませんでしたが、運転中や散歩中はサングラスをかけて少しでも迫力を出すことをイメージしていますね。その姿を日本の皆さんに見られたら、ツッコまれそうですが(笑)、良い意味でアメリカに染まってきています。

と、初回のコラムは導入部分ということで、ここまでの体験談をざっと書いてみました。2回目からはより詳しいエピソードをお届けします。ぜひ、次回も宜しくお願いします!!

※原稿はサッカーダイジェスト7月号(6月10日発売号)から転載

■プロフィール
やまね・みき/1993年12月22日生まれ、神奈川県出身。178㌢・72㌔。あざみ野F.C.―東京Vジュニア―東京VJrユースーウィザス高―桐蔭横浜大―湘南―川崎―ロサンゼルス・ギャラクシー。J1通算196試合・14得点。J2通算37試合・0得点。日本代表通算16試合・2得点。粘り強い守備と“なぜそこに?”という絶妙なポジショニングで相手を惑わし、得点も奪う右SB。

構成●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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